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前回課題の総評:

第6回授業の獲得目標: [worried]

エクセルによるデータの並び替え・集計・グラフ作成に習熟:課題データを用いて [smile]

前回の課題は、厚生労働省統計表データベースシステムで公開されている、「1C 上巻 死亡 第5.12表_ 死因年次推移分類別にみた性別死亡数・率(人口10万対)」の表から1986年以降の男女別死亡数のみ抜粋した表(file2008_情報#05課題.xls)を使って次の操作を行うことだった。ほぼ全員ができていたが、アンケートの中でも集計にまだ不安があるという人がいたので、1つ1つについておさらいをする。
この説明はもう聞く必要がないという人は、次の正規表現のところを読んで、練習問題をやっておいて欲しい。

今日の正規表現:後方参照への挑戦 [smile]

これまでに基本的な正規表現の使い方をマスターした。今日は1つ上のレベルの正規表現「後方参照」にチャレンジしてみよう。K2Editorのヘルプで後方参照に関する項目を見てみると、次のように書かれている。

後方参照
正規表現の中で()を使ってグループ化された部分にマッチ文字列は、 \1,\2などの表現で、
再度正規表現の中に埋め込むことが可能です。 
\の後ろに続く数字は、何番目のグルーピングされた文字列かを示します。 
たとえば、(\w+)[ ]+\1 は "ABC ABC"や"ppp ppp"に対してマッチしますが、 
"ABC ppp"にはマッチしません。 
\の後ろに続く数字には制限はありません。ただし、1〜9までは常に後方参照と解されますが、
 \10以降は、その後方参照に対応するグループがない場合は、8進数のコントロール文字と
解されますので注意が必要です。 
また、本当に一桁の8進数のコントロール文字を書く場合には、 \001などという風に書きましょう。 
(K2Editorのヘルプファイルから後方参照の部分を抜粋)

ちょっと分かりにくいかも知れないが、半角の

()

の中で指定したパターンにマッチした文字列を、

¥1

などという記号を使うことで、呼び出すことができるということだ。
次のような例を使って考えると、理解しやすいかもしれない。
#06_1.gif
K2Editorで実際に試してみよう

テキストデータ  A9JA49K6
・AかKの次の1文字を削除
  検索文字列 ([AK]).
  置換文字列 ¥1
・Aに続く1文字とAの順序入れ替え
  検索文字列 (A)(.)
  置換文字列 ¥2¥1

#06_2.gif

練習:日付データの形式変更

下はある人たちの誕生日のリストが月、日、年の順で書かれている。

April 29, 1984
March 20, 1987
September 23, 1980	
December 23, 1982
February 11, 1984
January 1, 1999
May 3, 1988
May 4, 1993
May 5, 1987
November 23, 1985
November 3, 1994

文章作成の標準ソフトウェア:Microsoft Word [smile]

最初のアンケート調査でも多くの人がWordの使い方を知りたいと思っていた。MS Wordは現実的にパソコン上で動くワープロの標準ソフトになっているし、多くの人は、レポート作成を意識してのことだろう。でも、

 Wordを使えるようになったからといって、良いレポートが書けるわけではない

レポート作成や論文作成には、データを収集、分析して、それを言葉で他人に伝えるという、複雑な作業が含まれている。。たかがワープロという道具が使えるようになったって、良いレポートが書ける訳では無い。

しかし、ワープロを使えば、レポートの見栄えをきれいに仕上げて印刷できるのも事実。読みにくい手書きの原稿よりも、見栄えよく読みやすいレポートにする方が、自分の意見を人に伝えやすいだろう。
そこで、この授業ではレポート作成を例にして、ワープロを使って文書で自分の意見を伝える方法を解説してみる。

まずは、Word以前の問題:レポート作成の例を使って考えてみよう

→文例参照

伝えたいメッセージ(主張)が無ければ、良いレポートなんて書けやしない

 たいていの場合、自分は課題の内容について、予備知識をそれほど持っていない。そこで、このレポートを仕上げるために、どういう作業工程が効率的かを考えると、

  1. 本を読んだり、ウェブ検索をしたりして、自分がそのレポートで主張したいメッセージを考える

     あるいは、同様の方法で、採点者がどういうメッセージを欲しがっているかを考える

最初に表示されるのはまさしく、「クジラ類と偶蹄類の系統解析」というページ。「しめしめ日本語で書かれたページがあったのだから、この内容をコピペして提出しよう。。。」なんていうのはダメ。ここでやることは、自分がレポートで主張する内容を一言で表すこと。今のページを読んでみると、「クジラと偶蹄目の系統関係は議論の的だったのだけど、レトロポゾンを使った系統解析でクジラは偶蹄目のクレードに含まれ、カバと近縁であることが分かった」と書いてある。「これでいけるじゃん」と思ったのなら、自分の主張したいメッセージを「クジラはカバに近縁だった」とする。

  1. 誰が聞いても納得してくれるように、自分の主張を筋道立てて相手に伝えられるよう、話しの流れを作る
    • Web上の読み物や、レビューや、教科書から、自分でストーリーを作る。伝えたいメッセージは上で決めたのだから、そのメッセージを聞いた人が「なるほど」とか「へぇー」と思うように、論理を展開する
    • ストーリー作りに必要な拠とその他の資料は、後で使えるように整理しておく
    • 話しの流れの例をいくつか:→文例参照
  1. 自分の主張を裏付ける重要な証拠を集める
    • 証拠の例をいくつか:→文例参照

      証拠は、自然科学関係のレポートの場合、原著論文が最も良い。でも、英語を読むのは大変だったら、正しいことを書いてある(と判断できる)日本語の教科書で引用している事実を、「孫引き」したくなるかもしれない。あまりお勧めしないし、日本語で書かれた教科書で引用された原著論文が正しいと判断できないと、自分のストーリー展開の証拠には使えない。でも、その引用が事実を引用しているものであり、正しい方法で引用されている場合、「孫引き」であることを第三者が判断するのは、けっこう難しい。(だからと言って孫引きせよと勧めているわけじゃないからね)。

      証拠の示し方は、文章の後に引用文献を明示したり、図表の番号を引用したりする。

      これまでの化石データを用いた研究で、偶蹄目は単系統群であり、
      鯨はその姉妹群であることが示唆されてきた(Xxxx 19xx, 図1)。
      〔このとき、Xxxx 19xx というのは、偶蹄目が単系統でクジラがその姉妹群であることを
        主張した論文。図1はそこから引用した図(図のキャプションでも引用を明示すること)〕

レポートの書き方、参考書

以前も紹介しましたが、下の本は、レポートを書くということについて、具体的に分かりやすくまとめられています。

CV098.jpg

戸田山 和久. 論文の教室—レポートから卒論まで. 297ページ. 出版社: 日本放送出版協会 (2002/11)

ワープロ原稿に既存の画像を貼り付けるための便利ツール:WinShot

WinShotというソフトウェアをダウンロードして、インストールしておこう。パソコン画面の保存・印刷等を行うことができる、とても便利なスクリーンキャプチャソフト。ウェブページからの画像の取り込みや、モニタに表示されている情報をそのまま画像として扱えるので、レポートの中に画像を添付したいときなど、とても便利。下のURLからダウンロードして、インストール。
http://www.woodybells.com/winshot.html

Wordを使ったレポート作成【p.87-102参照】

あなたのメッセージを分かりやすく相手に伝えるために、Wordを使ってできる限りのことをしよう

採点者は、たくさんのレポートに目を通さなければなりません。そんなとき、自分の主張をわかってもらおうという態度が、他の人とは明らかに異なるレポートがあると、やはり加点の対象になります。今回の予習課題でも、ほとんどの人がレポート形式で提出していないのに、一人だけきちっとした形式で出した人がいると、やはり加点してしまいました(下図)。どんなレポートが読みやすいか分からないという人は、次のような点に気をつければよいでしょう。

  1. とりあえず、Wordを起動する
  2. 長いレポートなら、表紙を作る
    • 千葉大のホームページから、千葉大のロゴマークをコピーして、表紙に貼ってみよう
    • タイトル、学籍番号、氏名、提出日を入力
    • メニューバーの「挿入/改ページ」で、文書の最後にページ区切りを挿入
    • タイトル関係の文字を選択し、センタリング(中央揃え)
    • 学籍番号等の情報を選択し、ルーラーで右寄せ
  3. 本文に文章を書き込む
    • 長くなる場合は、「要旨(摘要)、本論、結論、引用文献」とか、「要旨、序論、材料と方法、結果、考察、引用文献」とか、最初に構成を決めておくと書きやすくなる
    • メニューバーの「表示/ヘッダー・フッター」でフッターに頁番号を入れる
      • ツールバーの「#」をクリックすると頁番号が入る
      • 「頁番号の書式指定」を選んで、「1ページだけ別指定」、「開始番号」を0にする
      • 文字の大きさや書体を見やすいように整える
  4. 表の作成は罫線ツールバーで楽にできる
  5. 図の作成は描画ツールバー
  6. 証拠には論文から図をとってくることもよくある
    • ◎WinShotを使った図の切り取りと貼り付け
    • クジラとカバに近縁であることを示した論文を見る。Nikaido et al,1999, PNAS
    • クジラとカバの関係を示した系統樹を表示させる
    • デスクトップに移動し、WinShotを起動
    • クジラとカバの系統樹に戻り、画面右下のタスクトレイに入っているWinShotアイコンを右クリック。クリップボードにコピー/矩形選択を選ぶ
      • クリップボードは画像や文字データを一時的に保存しておく場所。コピーされたり、切り取られたデータはクリップボードに置かれる
    • 画面から切り取りたい部分をマウスのドラッグで選択し、最後にクリック。これで画像がコピーされた
    • Wordの書類に行きペースト
    • 画像を右クリックし、レイアウトで、文字と画像の関係(背面、全面、回り込みなど)を調整する
    • 図には必ず番号とレジェンド(説明)をつける。引用もとも明示する。
  7. 引用文献はおろそかにしないこと
    • レポートの中で、他人の意見と自分の意見を区別するのはとても大切です。他人の意見(つまり、そういう意見があるという事実)は、文章の後の()内に文献を引用しておくことで、その意見がいつ、誰が、どの雑誌に発表した意見であるかを示すことができます。つまり、文献引用は、そういうことが言われた事実であるということの証拠になっているです。レポートの場合は、そういう、文献データ(事実)の積み重ねから、なんらかの結論を導き出し、自分の意見として提出することが求められています。

前回はかなり急ぎ足でWordによる文書作成の説明をしました。実際の操作は少なく、説明中心の授業でした。Wordはたぶん、もっともよく使うアプリケーションの一つですし、使っているうちに慣れるので、あまり詳しい説明は必要無いかもと思うのですが、後半部分が分からなかったという意見や、実際の操作がわかりにくかったという意見、実例を使って解説して欲しいという意見もありました。今日の授業では実際にいくつか一緒に操作を行いつつ、補足説明をします。

ツールバーのカスタマイズ

エクセルでも説明しましたが、よく使う項目をツールバーにまとめておくと、操作が非常に楽になります。これから一緒に文書作成の操作をしてゆきますが、まず、ツールバーによく使う項目をまとめておきましょう。

06060104.gif

初期設定で余分な機能をオフ

 行頭の英文字が勝手に大文字になったり、箇条書きリストを作ると勝手に番号がついたりする。オートコレクトなどの機能はデフォルトでオンになっているので、必要がなければオフにしておく。

レポート作成の操作例:

  1. 表紙の作成
    • タイトル、学籍番号、氏名、提出日を入力
      植物分類野外実習レポート
      07s4099
      東浪見花子
      2007年5月31日
    • 【操作】
      • &ref(): File not found: "Untitled-5.gif" at page "授業/H20/情報処理/06";などのアイコンをクリックして操作
    • タイトル関係の文字を目立つ大きさ・書体にし、センタリング(中央揃え)
    • 学籍番号等の情報を選択し、ルーラーで右の方に寄せる(文字の配置自身は左寄せ)
    • 日付をセンタリング
    • メニューバーの「挿入/改ページ」で、文書の最後にページ区切りを挿入
  2. 2ページ目にレポートの構成を書き込む
    はじめに
    
    目次
    
    1.実習場所と実施日
    2.観察植物リスト
      ・リストの作成方法
      ・作成したリスト
    3.注目した植物の観察結果
      1.
      2.
    おわりに
    
    参考文献
    • 注:レポートの例に合わせて、構成の見出しを前回の説明と変えてある
    • 上の囲みの中をコピーして文書にペースト
    • それぞれの見出し行をダブルクリックして選択し、アイコンのフォント指定&ref(): File not found: "Untitled-6.gif" at page "授業/H20/情報処理/06";で「フォント:MSPゴシック 16ポイント」に設定する
      • 下位の見出しの文字は14ポイントぐらいにする。斜体にするなどしてもよい
      • 書式は「書式のコピー・ペースト」&ref(): File not found: "Untitled-2.gif" at page "授業/H20/情報処理/06";で簡単に行える
      • 慣れてきたら、よく使う書式は「スタイル」に登録しておくと便利
    • ページの下の方に頁番号をつける
      • メニューバーの「挿入/ページ番号」をクリックする。その際、表紙には頁番号を入れたくないので、「最初のページに頁番号を挿入する」チェックボクスをオフにする
      • 2ページ目の下に「2」という数字が表示されている。これをダブルクリックするとフッター(ページ下部に共通して表示させる文字)が編集できる。「頁番号の書式指定」を選んで、「開始番号」を0にする
      • 頁番号の文字を選択し、「Times New Roman 10 ポイント」にする
      • 終わったら「閉じる」
  3. 表の作成
    • 「表の作成」アイコン&ref(): File not found: "Untitled-3.gif" at page "授業/H20/情報処理/06";をクリックして、目的とする表の行数・列数をマウスのドラッグで指定する。
    • エクセルで表を作っておき、コピー・ペーストするのも簡単
    • 表の罫線の書式は「罫線」のアイコン&ref(): File not found: "Untitled-4.gif" at page "授業/H20/情報処理/06";をクリックして行う。
  4. 図の作成
    • 描画ツールバーを表示させる。「メニューバー/表示/ツールバー/図形描画」
    • いろんな図を利用できる → Power Pointの作業と共通する部分が多いので、そちらで解説。

応用例:上のレポートの例に合わせた解説

プロジェクト関係の相談

 前回、プロジェクトごとの班分けとテーマ決定をお願いしておきました。この授業で、各班のテーマ、メンバー、リーダー(連絡担当者)を教えてください。各プロジェクトごとに企画書を作成して提出してもらいます。

第6回授業の課題

課題2. 復習

内容: WinShotで切り取った画像にWordでキャプションをつけて、さらにもう一度WinShotで切り取ってJPEG形式でセーブし、自分のウェブページに貼り付ける。

課題3.予習 班ごとのプロジェクトの相談と企画書の提出

  1. 今日の授業でテーマごとに班分けをしもらいました(各班5名を目安。多すぎる場合は2つに分割)。
  2. 代表者を1名も決めて貰っているはずです
  3. 班ごとに、次の項目を相談して、プロジェクトの企画書をMSWordで作成し、梶田まで添付書類で提出してください。
  4. 企画書に含む項目:
    • プロジェクトタイトル:
    • メンバーの氏名
    • プロジェクトの概要(100文字以上)
    • プロジェクトの魅力(100文字以上)
  5. Wordの機能を使って指定すべき書式
    • タイトル、見出し、内容はそれぞれ読み手に分かりやすいよう、書式(文字の大きさ、書体など)に配慮してください。