いずれの班も初めてのプレゼンを、工夫しながら作ってくれていました。それぞれになかなか面白い点がありましたが、プレゼンの構成をちょっと帰るだけでもっと面白くなるのになという感想も持ちました。多くの班に共通して言えることを1点だけ挙げておきます。
プレゼンテーションで聴衆に何を伝えたいか(これを「メッセージ」と呼びます)が最重要ポイントです。しかも、与えられた9分という時間の中で、発表者のメッセージの意味や面白さまでを伝え切らなくてはなりません。卒研発表や学会発表では、「どんな研究をして、どんな発見をしたか」がメッセージになるので、プレゼンテーションは「背景・目的・方法・結果・考察」のように定式化されています。今回の2班の発表はこれに近いので、メッセージが伝わりやすかったと思います。それに対して他の班は、自分たちが行ったプロジェクトで分かったことを淡々と発表している印象が拭えませんでした。もう少しプレゼンの構成を変えるだけで、メッセージはもっと伝わりやすくなると思います。
授業では名簿と成績表という2つの表を結びつける操作で、データベースの使用例を学びました。この例では、
沢山のデータが入った、2つの大きなデータの集まり(表)がある 2つを比較したいのだけど、一つ一つを目で見て比較するのは面倒
という場合です。実際のケースとしては、次のような場合があるでしょう。
このケースでは、2つの表があります。
ウェブ登録で得られた参加者のデータ 氏名、連絡先、振り込み金額、メールアドレスなどが入っている(後にmeiboと呼ぶ表) 郵便局から得られた振り込みリスト:振り替え伝票から氏名、日付、振り込み金額をリストにしたもの(後にfurikomiと呼ぶ表)
手作業で解決するならば、それぞれの表をエクセルで作成し、氏名で並び替え、上から順に、会費未納の人はいないか(まれに、2回振り込んでしまっている人もいます)、振り込み金額が間違っている人がいないかどうかをチェックします。でも、未納者だけなら目でみて探しても、そんなに時間はかかりませんが、振り込み金額の間違えまでもチェックしていると、かなり大変な作業になります。
こういう場合、SQLiteを使ってmeiboとfurikomiとでもいう2つのテーブルを使えば、目でみてチェックする作業をコンピュータにやらせることができるのです。例えば、次のようなSQLを1行かけば、処理は済んでしまいます。
> select meibo.namae, e-mail, kingaku, furikomi.kingaku from meibo left outer join furikomi on meibo.namae = furikomi.namae where meibo.kingaku != furikomi.kingaku order by furikomi.kingaku desc;
このケースでも2つの表があります。
野生植物に関する和名、学名、科名などの対応表(後にyaseiと呼ぶ表) 自分が野外で採集した100種の植物の和名リスト(後にcollectionと呼ぶ表)
この場合もSQLiteを使って、yaseiとcollectionとでもいう2つのテーブルを作れば、何度も検索やコピペを繰り返さなくても、和名と学名の対応表が出来てしまいます。
> select collection.wamei, gakumei from collection left outer join yasei on collection.wamei = yasei.wamei order by collection.wamei;
たぶん、データベースシステムは、大量のデータを相手にするとき以外は必要ではありません。単純で少量のデータなら、エクセルで済んでしまいます。でも、おそらく皆さんは、これから先、大量のデータを扱うことになります。そんなとき、
データ数が多すぎて比較が面倒すぎる → エクセルでは無理 → あきらめではなく、
データ数が多すぎて比較が面倒すぎる → データベースを利用する → 解決という方向があることを覚えておいてください。