理数大好き学生応援プロジェクト・特別実験I †
1. 野外調査演習 †
野外調査とは †
野外調査は、ほとんど全ての生物多様性研究において行われる、最も基本的な研究活動です。対象とする生物や、調査地域によって、野外調査は様々な方法で行われますが、全ての調査は概ね、次の3つの段階を経て計画されます。
- 1. 研究対象とする生物の分布情報調査
文献情報やデータベース、標本館に所蔵されている標本を用いて行う
- 2. 調査地域と調査時期の選定
上で調べた情報に基づいて、最適な調査地域と時期を設定
- 3. 調査方法の決定
調査内容、場所、時期にあわせて、具体的な調査方法を決定する
例:メキシコにおけるVigna luteolaの調査 †
以下は2008年にメキシコで、Vigna luteolaという植物の調査をおこなったときの手順です。
- 1. 分布調査:
- 2, 3. 現地調査ルートの決定:
上で得られたデータに基づいて、調査期間中に最も効率良く、調査地域を回れるようなルートを検討し、現地調査を実施した。
この実習で目的とするところ †
自ら設定した観察目標に従って、野外調査の実際を体験する
上で説明した野外調査の3つのステップに従って、野外調査の実際の手順を体験します。
- 1. 観察目標種の設定と情報収集
- 9月24日正午までに梶田にメールで提出。
- 2. 調査地域の選定
- 全員分のデータを統合し、観察地点ごとの観察対象種、観察ルート等を検討する
- ※全員分の表形式データを統合し、集計
- ※9月27-30日のうち観察実習は、このデータに基づいて計画する。
- 3. 調査の実施
- 9月27-30日の実習で野外観察を実施
- 自分が興味を持った観察対象種を、野外で実際に探し出します!
観察成果 †
- 観察目標種を見つけることができたかどうかをリストに記入
- 見つけることのできたものについては、観察記録を映像や文章で記録
- Pukiwikiシステムを用いて、電子データでレポート提出。各自、一部のデータを、このホームページ上で公開する予定。
2. 琉球の生物はどこから来たのか? †
西表島は島であるが、大陸島(外洋に浮かぶ海洋島に対してこう呼ばれる)であり、かつては、台湾や中国大陸と陸続きであった時代もあると言われている。このような島に、イリオモテヤマネコなどの固有種も含めて、独特の生物群集が成立している。このような生物群集がどのようにして形成されてきたのかを考えるには、これらの生物種が、どこからこの島にやってきたかを考えることが重要になる。そこで、本実習では、実際に西表島で観察した生物種について、その世界的な分布を調べ、その情報を基にして、対象とした生物群集がどのようにして形成されたかを考察する。
方法は、以下の通り。
- 対象とする生物群集(グループ)を決める
- 生物を観察採集し、生物種のリストを作成する
- それぞれの種の分布域を調べる
- その情報を基に、生物群集の形成の過程を考察する
以上を考えた上で、興味のある生物群(群集)を各自選定しておいてください。群集と行っても、数種から10種程度のグループを想定しています。
調査の場所については:西表島島内の、海岸、林縁部、河畔林、森林、マングローブ、河川、予定中の調査は:昆虫の採集、昆虫の灯下採集、夜間のライトセンサス を考えています。