1年生のみなさんが大学で授業を受け始めてから、すでに10日以上が経過した。高校までの授業との違いにも、そろそろ慣れ始めたころだと思う。でも、今のうちに、改めて考えて欲しいのは、皆さんにとって「大学の授業とは何か?」また、「大学の授業を通して、何を学ぼうとしているか?」ということだ。あまりにも基本的な問いかけなので、他の授業では触れられていないかもしれないが、皆さん〔受講者)と私(教員)の間で、この部分で共通の認識を持っていないと、授業はうまく成立しないだろうと思う。
そこで、今日の授業では、moodleを利用して授業に関するコミュニケーションを行う。また、そろそろレポートの提出が始まると思うので、レポートを書く場合の心構えと、ワードの使い方の初歩を学ぶ。さらには、クラウドを利用したファイルの共有方法や、学内LANやスマートフォンでのメール利用についても解説する。
まずは、皆さんが学び始めた大学での授業に関して、全員(教員含む)で意見を共有する。
授業のmoodleにアクセスして、新しいタブでページを開いて、「演習1・フィードバック」の質問に、5分ぐらいで答えてほしい。
大学における授業は、皆さんにとって西千葉まで毎日通ってくる最大で最重要の理由だろう。皆さんは、授業を受けて、また、千葉大学が提供する図書館などの施設を使って勉強するために以下の代金を支払っている。
入学金 282,000円 授業料 535,800円(/年) (入学金を4で割って年ごとに考えると、一年あたり606,300円) (一月あたり 50,525円、年間授業日を300日として一日あたり2,021円) (卒業要件単位数124単位で単純計算すると、1単位あたり4,890円)
この授業は15回の2単位授業だから、皆さんは今日の授業で学ぶための対価として600円ぐらいを支払っているわけだ。
そろそろ、全員の記入が終わっているはずなので、皆さんが大学の授業をどのように捉えているかを、見てみよう。
http://bean.bio.chiba-u.jp/moodle24/
(フィードバックの内容を閲覧して意見を共有)
皆さんは、大学と契約を交わしている。皆さんが入学料や授業料を払うことによって、大学は、「履修要項」に書かれた内容の教育を提供すると、約束したことになる。また、今年度の千葉大学理学部履修要項の最初のページに、理学部長の井上厚行先生から、「理学部で学ぶこと」というメッセージが書かれている。そこから「学び」について書かれたいくつかを抜粋してみると、
と仰っている。これが、千葉大学(理学部)が皆さんに求めている学びの概要だ。では、自主的に学ぶというのはどういうことだろうか?
自主的に学ぶ学習者のことを、自律的学習者 Autonomous Learner と言いう。高等教育において、自律的学習者をいかにして作るかは、教育論における重要なテーマの一つでもあり、皆さん自身の大学生活に直結する問題だろう。特に、受験勉強を終えたばかりの皆さんからすると、高校までの勉強と、大学で学ぶことのギャップにとまどってしまうかも知れない。そこで、まず、次の演習を通して、大学で学ぶ方法について、実際に学んでいる皆さんとアイデアを共有しよう。
リフレクション Reflection (日本語では、振り返りとか、省察という訳が使われることもある)は、恐らく、自ら学ぼうとする皆さんが、身につけておくべき方法の一つだろう。(→簡単な日本語による紹介記事、英語の参考文献)
リフレクションは、自分が授業や、文献や、議論や、様々な場面で学んだ内容を、自分自身の経験を通して分析し、理解し、問題点の発見と解決を図ろうとする認知活動・認知プロセスだ。リフレクションを通して学習者は、学習内容にたいする認識を広げ、次の学習に繋げることができる(つまり、自律的学習が促進される)。
具体的には、例えば、それぞれの授業で自分が学んだ内容に対して、ノートやポートフォリオに、次のような質問のそれぞれについて考え、答えを書き込む。質問の内容は、授業のテーマや、自分自身の学習への興味に合わせて、増やしてもいいし、減らしてもいい(ここに挙げたのは、あくまでも、1例)。
何を学ぶ事を期待していたか? これまでに知らなかった何を学んだか? 上手く学べたのはどうしてか? 学んだ内容を自分の学習にどのように生かしたいか? 上手く学べなかったのはどうしてか? より上手く学ぶにはどうすればいいか?
こういう質問に答えることで、授業で自分が学んだことを客観的に評価して、自分はさらに何について学びたいか、どういう点を改善すべきがが理解できる。1年生の皆さんには、今後の大学での学びをさらに興味深いものにするためにも、リフレクションを早めに身につけることをお勧めしたい。
そこで、この情報処理の授業では、毎回課題の1つとして、リフレクションを行ってもらう。
http://bean.bio.chiba-u.jp/moodle24/
から授業moodleページにアクセスすると、今日の授業の「課題2」が見られる。これを開くと、今日の授業で自分自身が学んだ内容に関してリフレクションを記入できるようになっている。この授業であと14回リフレクションをすることで、自律的学習者になるトレーニングをしよう。
(タイピング練習ソフト:Ozawa-Kenのスクリーンショット)
コンピュータが不得手な人の中には、タイピングが得意じゃないという人が沢山いる。たしかに、タイピングが不得意だと、
ワープロで文章を書きたいのに、「Wのキーってどこだったっけ?」ってキーボードとにらめっこしなきゃいけない そんなことやっていると、自分の思考のスピードに合わせてタイピングできないからイライラする 授業だとキーを探しているうちに話題が変わってしまって焦る。。。 これじゃあ、携帯電話で文章を書く方がよっぽど楽???)
なんということになりかねない。この授業で毎回リフレクションで文章を入力することになると、なおさらだ。
でも、キーボードタイピングは、すでに、知的労働者が持っているべき必須能力です。皆さんは、今後、様々な場面で長い文章をパソコンを使って作成することになる。でも、タイピングは練習次第ですぐに上達するので、早めに自信を付けておくことが大切だろう。しかも、ピアノの練習と違って、キータイピングは周りに迷惑をかけずに、一人、黙々と練習できる。
コンピュータが無かった頃、タイプライターでキータイピングを覚えるには、毎日、30分ぐらい、次のような練習をすることだった。
まず、ホームポジションに指をおくと、左の人差し指はF、右の人差し指はJ、左の中指はD、右の中指はKに対応しているから、4本の指を交互に動かし、
ffff jjjj ffff jjjj fjfjfjfj jfjfjfjf dddd kkkk dddd kkkk dkdkdkdk kdkdkdkd
などとひたすら打つ。1-2週間も続ければ、ホームポジションは覚えられるし、タッチタイピングもほぼできるようになる。
もし、タッチタイピングができるようになれば、コンピュータに対する苦手意識をかなり解消できることは間違いない。
1年生の皆さんは、今からタッチタイピングができるようになっておけば、一生の財産になることは間違いない。そこで、ちょっと練習してみては?キー入力がストレス無く行えるようになるだけで、コンピュータとのつきあい方が、ずいぶん違って来るだろう。下のサイトでは、ネットでタイピング練習ができたり、練習ソフトがダウンロードできる。
オススメは一番上のOzawa-Ken 。ダウンロードして、一緒に挑戦してみよう。
さて、今日のもう一つのテーマはレポートだ。みなさんは、これからいろんな授業で何度もレポートを提出する。そして、皆さんのうち何人かは、「何度レポートを出しても良い評価をもらったことが無い」という問題にぶつかるかもしれない。そういう人は、もしかするとレポートのどういう点が評価されるのか、わかっていないのかも知れない。生物学科では3年になると毎週のように実験があり、2週間に1度は実験レポートを書かなければいけないのに、レポートの書き方をわかっていないようでは困ってしまう。
そこでまず、レポートの書き方について簡単にまとめたスライドを見て貰おう。これは、7年前に私が担当したコア授業で、1年生向けに使ったスライドだが、レポート一般に関する注意点は、今でもあまり変わっていない。
レポートや課題の指示には十分な注意を払おう。
閑話休題: 提出期限や提出要件などは、現実社会でも頻繁に使われている。守らないと、不利益を被ることがある。 例えば、海外留学が決まって航空券を購入し、1ヶ月以内にビザを取得しなければならないと言うときでも、 ビザの申請書の質問欄の1つにチェックを忘れただけで、申請書を突き返されてしまう。 しかも、ビザの審査料は支払わなければならないし、航空券代金は戻ってこない。 (某国大使館であった実例です)。普段のレポートから、提出要件や指示には注意を払っておこう。
ところで、上では指摘していないが、とてもよくある間違いの1つに、全角文字と半角文字の混同がある。
全角文字 AbCdEfG012345+−X アイウエオ 半角文字 AbCdEfG 012345+-X アイウエオ
コンピュータの初心者はよくこの2種類の文字を混同してしまう。特に、
メールアドレスやアカウントやパスワードに全角文字を使ってはいけない
自分が入力している文字が全角か、半角かは、画面右下をよく見て注意していよう。
最近、学内でスマートフォンやノートパソコン、タブレットPC等を学内LANに接続したいという希望が多い。iPhoneを例にして、スマートフォンを学内LANに接続する方法を、簡単に解説する。
chiba-wep chiba-wpaのいずれかが表示されると、学内無線LANに接続できる。
スマートフォンから統合メールを送受信する方法を、IPhoneを例に解説する。
提出期限:4月30日水曜正午