第2-4回授業:系統推定の基本用語

系統樹

 英語のカタカナ書きで使われる用語が多い。

系統推定に使われる形質データ

 系統推定には生物の持つ、様々な形質が利用可能である。現生の生物間の系統推定には、データの質と量が優れていることから、通常、DNAなどの分子データが用いられる。系統推定に用いられるデータを説明するのに、以下の用語が使われる。

 系統推定においては、ある形質における形質状態の進化的な変化が、何度生じたかとか、どのような方向にどれくらいの確率で生じたかなどを考える。このとき、形質状態の変化のパターンで、形質は以下のように区別される。実際に分子データを用いて系統推定をする場合には、「配列」や「極性」は特に意識しないことも多い(注:但し、アミノ酸のステップマトリクス)。

 進化を時間の経過で捉えた場合、祖先種の持つある形質状態が、子孫種では別の形質状態に変化している場合がある。この場合、祖先種の方の形質状態をプレシオモルフィー・原始的形質状態・〔原始形質〕(plesiomorphy)と呼び、子孫種の方の形質状態を・アポモルフィー・派生的形質状態・〔派生形質〕(apomorpy)と呼ぶ。対応する形質状態のうち、どちらが原始的でどちらが派生的なのかを決めるプロセス(つまり、極性の決定)が系統分類学の核心である。現生の生物において形態学的形質状態の変化の方向性を問題にしている場合、現在では、分子データで推定した系統樹の上に形態学的形質状態を配置して、変化の方向性を決定することが多い。

apomorphy.gif

 形質進化を議論するときに、次の用語はとてもよく使う。

 これまで述べてきた形質とは異なり、距離データ(distance data)は分類群同士の違いの程度を数値で表すものである。距離データは形質データに変換できないが、形質データは距離データに変換できる。
 前回授業で説明した枝長とは、系統推定の方法によって、2つの節間で生じた形質変化の回数の場合もあれば、2つの節間の距離の場合もある。詳しくは次回以降で説明する。

系統推定

 系統推定とは、OTU間の系統関係について最良の推定を行うこと

最節約法