*Rを使ったプログラミング [#ub51ef7f]

**&color(green){【トピックス】};帰無仮説・有意水準・有意差・仮説検定。。。が分からない [#b4099b8b]
前回授業でやった仮説検定のところがよくわからなかったという意見が多かったです。そこで、正確さは二の次にして、仮説検定で行っている作業をイメージで理解してもらえるようまとめてみました。それぞれどこの部分が、帰無仮説、有意水準、帰無仮説の棄却にあたるのか考えてみてください。また、なんとなく理解できたら、統計の教科書を読んでみることを強くお勧めします。
~
~
>
#ref(./snmpenwl.gif,left,around,nolink) 
#ref(./WS000002.JPG,right,around,nolink)
&size(16){1枚のコインを20回投げたら、オモテが5回しかでなかった。このコインはいかさまコインかなー?};
~
~
~
//#ref(./snmpendf.gif,right,around,nolink)
~&size(16){もし、このコインがいかさまコインじゃない(正常なコイン)とすると...};
~&size(16){20回中5回しかオモテが出ないのっていうのも、わりとフツーに起こることなんだろーね。};
~
~
~
#ref(./snmpensl.gif,left,around,nolink)
#ref(./pengraph.gif,right,around)
~&size(16){わりとフツーに起こるこってどうやって数字で示す?確率で 95パーセントぐらいかな?...};~
&size(16){正常なコインを20回投げた時のオモテの数ごとに、確率をグラフで表してみると...};
~
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~
#ref(./snmpengi.gif,left,around,nolink)
&size(19){なんと!!};&size(17){95パーセント以上っていうのは、オモテの数が6枚から14枚までの場合だっ!};
~&size(17){オモテの数が5枚の場合は、5%の範囲というフツーじゃ起こらないとした範囲に含まれちゃってる...};
~
~
~
&size(16){「20回中5回しかオモテが出ない」っていうのが、「正常なコイン」ではフツーに起こらないっていうわけだから、};
~&size(16){このコインが「正常なコイン」っていう前提が間違っていたと考える方がいいんだろうね。};
~&size(16){うん、きっとこのコインは、いかさまコインなんだ};
~
~
~
#ref(./snmpenas.gif,right,around,nolink)
&size(16){でも、待てよ。フツーじゃ起こらないことの判断基準が5%って大きすぎない?};~
&size(16){5%っていうと、、、100回中5回。。。}; &size(18){20回中に1回だ!};~
&size(16){っていうことは、もしも「正常なコイン」という前提が正しくても、20回に1回は、間違った判断を下してしまう可能性があるってことだね。};



-&size(11){&color(brown){注:};今回このページで用いたペンギンのアイコンは、ホームページ用フリー素材集★沙奈の小物箱★ http://www2g.biglobe.ne.jp/~misana/ から使わせていただきました。};

#contents

**仮説検定:用語の整理: [#na4e9b31]
-帰無仮説:検定されるべき仮説。
-第一種の誤り:本当は帰無仮説は真実なのに棄却してしまうという誤り
-第二種の誤り:本当は帰無仮説は間違っているのに、受け入れてしまうという誤り
|>||>|CENTER:帰無仮説を|
|>|~|CENTER:受け入れる|CENTER:棄却する|
|帰無仮説が|真実|結論は正しい|第一種の誤り|
|~|間違い|第二種の誤り|結論は正しい|
-有意水準:帰無仮説を受け入れるか、受け入れないかの判断の基準になる確率。ふつう、5%(0.05), 1%(0.01%), 0.1%(0.01%)が使われる。
-棄却域:帰無仮説が正しいときに起こりにくい領域の確率。有意水準と同じになるようにする。
-採択域:帰無仮説が正しいときに起こりやすい領域の確率。「1 - 有意水準」

***前回やった2項検定の補足:どうしてp値が0.04139になるか? [#u111cd72]
 > binom.test(15,20)
	Exact binomial test
 data:  15 and 20 
 number of successes = 15, number of trials = 20, p-value = 0.04139
 alternative hypothesis: true probability of success is not equal to 0.5 
 95 percent confidence interval:
  0.5089541 0.9134285 
 sample estimates:
 probability of success 
                   0.75 
~&ref(./Untitled-8.gif);&ref(./Untitled-7.gif);~
&ref(./期待値.xls);

**Rのおさらい [#s77e7cca]
 前回やったRを使った計算のおさらいを、サンプルデータをつかってやってみましょう。

***サンプルデータ: 仲岡先生の実習から [#x27b1da4]
下のデータは仲岡先生の実習でやった、調査コドラートの面積と、出現種数です
 コドラート1    10*10    2種
 コドラート2    15*15    4種
 コドラート3    20*20    7種
 コドラート4    25*25    7種
 コドラート5    30*30    7種
 コドラート6    35*35    9種
 コドラート7    40*40    8種
 コドラート8    45*45   12種
 コドラート9   50*50   10種
 コドラート10   55*55   10種
 コドラート11   60*60   11種
 コドラート12   65*65   11種
 コドラート13   70*70   9種
 コドラート14   80*80   10種
 コドラート15  100*100  12種
 (データ提供、してくれた方に感謝!)
 Rを使ってこのデータの、面積と種数の相関関係を知りたいとき、必要なのは、コドラートの1辺の長さと種数のベクトルです。

 &size(16){今から何をするか、もうお分かりですよね?};

予想通り、K2Editorを立ち上げて、要らないところを消し、
 10   2
 15   4
 .    .
というデータに整形して、エクセルにコピペして、1列ごとのデータを scan() 関数を使ってオブジェクトに読み込みます。では、やってみましょう。(そろそろミミタコだろうから、説明は簡単に書いておきます)
***1. K2Editorでの操作 [#e319a97a]
++上の囲みのデータをコピペ
++正規表現置換
 検索文字列: ^.*\* (説明:行頭から最初のアスタリスクまで)  
 置換文字列:<無し>(つまり削除するということ)
 
 検索文字列: 種           
 置換文字列:<無し>
 
 検索文字列:  + (説明:左に書かれているのは半角のスペースと半角のプラス) 
 置換文字列: \t (説明:タブ)
++終わったら全体を選択してコピー。 エクセルを起動

***2. エクセルでの操作 [#t0e23894]
++K2Editorで整形したデータをペースト
++2列に分かれてデータが表示される
 10  2
 15  4
 .   .
++1列のデータをコピーして、Rに移動

***3. Rでの操作 [#x378dbb9]
++scan()関数を使って、コドラートの一辺の長さを qに、種数をyに代入
 > q=scan()
 [1]    ← ここでペースト。yについても同様
 > y=scan()
++(確認のため、それぞれ表示しておきます)
 > q
 [1]  10  15  20  25  30  35  40  45  50  55  60  65  70  80 100
 > y
 [1]  2  4  7  7  7  9  8 12 10 10 11 11  9 10 12
++欲しいのは面積なので、xにqの2乗を入れる
 x=q^2
++それぞれの常用対数を使ってグラフにプロット(対数グラフ用紙必要無し!⌣)
 > plot(log10(x), log10(y))
++回帰分析
 > result=lm(log10(y) ~ log10(x))
 > result
 Coefficients:
 (Intercept)     log10(x)  
    -0.1375       0.3250  
 ここに表示された結果は、log(y)=0.325*log10(x)-0.1375 という回帰直線の式
++回帰直線の描画
 > abline(result)
++解析のサマリー表示
 > summary(result)
 Call:
 lm(formula = log10(y) ~ log10(x))
 Residuals:
      Min        1Q    Median        3Q       Max 
 -0.211429 -0.054045  0.006334  0.053616  0.142160 
 Coefficients:
            Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)    
 (Intercept) -0.13750    0.15254  -0.901    0.384    
 log10(x)     0.32498    0.04713   6.896 1.09e-05 ***  ←有意水準0.1%で有意
 ---
 Signif. codes:  0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1  ←これ、有意水準
 Residual standard error: 0.09927 on 13 degrees of freedom
 Multiple R-Squared: 0.7853,	Adjusted R-squared: 0.7688 
 F-statistic: 47.55 on 1 and 13 DF,  p-value: 1.092e-05 
++相関の検定
 > cor.test(log10(y),log10(x))
 Pearson's product-moment correlation
 data:  log10(x) and log10(y) 
 t = 6.8957, df = 13, p-value = 1.092e-05
 alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0 
 95 percent confidence interval:
  0.6847590 0.9618161 
 sample estimates:
      cor 
 0.886173   ← 相関係数

 この授業では、それぞれの分析の意味については説明しません。仲岡先生に聞いて下さい。(グラフ用紙で提出しなくてもいいと仰っていたような、いなかったような。。。)

&size(16){*大事なこと*};
 「こんな解析、自分でやるのは絶対無理!」と思うかもしれませんが、
  そんなことは無いです!
 上のような解析の方法、私だってRでできるとは知りませんでした。
では今回、私はどうやったのでしょう?「回帰分析行いなさい」なんて言われたら、どうすればいいのでしょうか?もしかしてRでできるかなと思ったら、
 Adobe Readerを使って、マニュアルを検索します
--http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips.pdf には竹澤さんという方が書かれた詳しい説明があります。私がやったことは、Adobe Acrobat Readerで開いて、検索機能を使って「回帰分析」が載っているページを調べただけです。あとは、例を見ながら、上の解析をやってみました。
--http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips.pdf には船尾さんという方が書かれた詳しい説明があります。私がやったことは、Adobe Acrobat Readerで開いて、検索機能を使って「回帰分析」が載っているページを調べただけです。あとは、例を見ながら、上の解析をやってみました。


***仮説検定:補足 [#t9da5428]
前回アンケートで、仮説検定について「帰無仮説や有意水準などが分からない。」、「Rの操作は分かったけど、その意味が分からない」という意見があります。でも、私は、今の段階では、
 全員がRを使って仮説検定の操作を行うことができただけで十分!
と考えています。生物学では収集したデータをもとに何らかの判断を下す場合、ほとんどの場合仮説検定が必要になります。これは別に系統学や生態学に限ったことではありません。最新号のNatureに載っている染色体不安定性を示すマウスの腫瘍に関する論文でもt検定が使われています。
-http://www.nature.com/nature/journal/v447/n7147/abs/nature05886_ja.html
~議論の性質やデータの性質によって仮説検定の方法は異なりますが、今回皆さんが体験した考え方と解析方法は、いずれの仮説検定にも応用できるはずです。興味を持ったらいろんな教科書を読んだり、Rのマニュアルを読んでみてください。中澤さんの書かれた、Rを使った統計解析の解説PDF(http://phi.med.gunma-u.ac.jp/statlib/stat.pdf)は、無料ですし、Rで操作を試しながら読むことができます。



*Rを使ったプログラミング演習 [#eb2d3ff6]
 さて、今回で3週目になるRという計算ソフト。コマンドを入力するのはちょと難しいけど、エクセルみたいにマウスを使って面倒な操作をしなくても、一瞬にしてグラフが描けてしまう優れものですね。これなら、良いレポートを仕上げるために、何度も解析をやりなおして、グラフを描き直すっていう作業も面倒ではなさそう。。。
 初めて使ったソフトなのに、皆さん、すでにRの操作には慣れてきているし(全員、課題ができていた)、興味も感じてくれたよう。そこで、今回は要望の多かったプログラミングをRを使って勉強します。


**プログラミングって何? [#a076c86e]
 ところで、プログラミングって何をすることでしょうか?IT用語辞典で調べてみると、、、

  載っていません

 唯一近いところでは、「プログラミング言語」というのがあります。説明文からプログラミングに関わるところを抜き出して、「プログラミング」の説明文を作ってみると、

-''プログラミング'': 人間に理解できるように英語などを元に作られたプログラミング言語を用いて、コンピュータに実行させる命令を作ること。できた命令はソースコード、プログラム、スクリプトなどの名前で呼ばれる。命令文をコンピュータに実行させるためには、コンピュータが理解可能な機械語の羅列(オブジェクトコード)に翻訳する必要がある。プログラミング言語によっては、コンパイルという翻訳作業を別にしなければならないコンパイラ型言語と、リアルタイムに翻訳作業をしてコンピュータに命令を渡すインタプリタ型言語がある。

 今日の授業でコンピュータにあれこれ命令を与えるために使うRは、計算ソフトですが、インタプリタ型のプログラミング言語ということもできます。

 つまり、プログラミングとは、簡単に言うと、「%%%言葉を使ってコンピュータが理解できる命令を作ること%%%」 です。

**コンピュータにどんな命令ができるのか? or どんな命令がしたいか? [#hb1af07f]
 「Wordを立ち上げて文章を作成し、印刷する」とか、「Excelで家計簿を管理する」とかは、市販のソフトウェアを使った作業ですが、いずれも、非常に高度で複雑な命令が、使用者からコンピュータに向かって発せられています。マウスを動かしたらポインタが動くなんていうのは、けっこう複雑な命令ですよ。でも、ほとんどの場合、一般の人がコンピュータでやりたいと思うほとんどの作業は、わざわざ「命令」なんていうものを意識する必要は無いはずです。利用者が理解しやすく・使いやすいように、専用のソフトウェアが開発され、販売されているでしょう。

 生物学の研究者でも、プログラミングなどを経験したことの無い人は大勢います。だって、今や、DNAシーケンスの決定や、整列や、系統樹作成にだって、専用のソフトウェアがあるのですから。。。それぞれのソフトウェアの使い方を覚えれば、それですむわけです。私たちも新しい解析方法が開発されるたびに、そのソフトウェアの使い方を覚えるのに苦労しています。

 でも、それだけで、本当にいいのでしょうか?良くないという点が、まず、2つ思いつきます。

 1. 自分の目的にあったソフトウェアがいつも存在するというわけではない
 2. ソフトが存在する場合、目的の数だけ、ソフトの使い方を覚えなければならない
 
 ということです。特に1番目は致命的ですね。ソフトウェアが開発されてなかったら、目的が達成できないのですから。例えば、集団遺伝学で学ぶ、遺伝的浮動の解析ソフトなんていうのは、パソコンショップに行っても売ってないです(でも、じつは、このくらいメジャーなものなら、ネットで探せばフリーのものがあります)。

 そこで、この授業でプログラミングを勉強する理由は次の3点です。
+市販のソフトではカバーできないような目的を、コンピュータに命令を与えることで達成する
--あなたのコンピュータは実は、すごい性能をもっています。その性能はできる限りつかわないと損
+プログラミングを行うことで、目的とする生物学的現象の理解が深まる
--コンピュータは石頭なので、物事を本当に論理立てて説明してやらないと、命令を聞いてくれません
&br;
  プログラミングの過程で、生物学的現象の意味を論理立てて考える必要に迫られます
+プログラミングを行って、命令を実行させることで、初めて、コンピュータに''作業をさせている''ことが実感できる
--ワープロや表計算とかは、どちらかというと、道具を使って作業をさせられている感が強いですよね

**初めて(?)のプログラミング:"Hello World!" [#t6d4bdf7]
「Hello World!」だなんて、なんか変なタイトルだなーと思いますよね。誰が使い始めたのかは知りませんが、様々なプログラミング言語の教科書で、最初に出てくるのがこのプログラミングです(プログラムを勉強したことのある人なら、たいてい誰でも知っています)。では、早速やってみましょう。Rを立ち上げて、次のように入力してください。

 print("Hello World!")

うまくご挨拶できましたか?

ここでやったのは、print()という関数を使って"Hello World!"と画面に表示させただけですが、これも
 画面にHello Worldと表示させる
ということを目的としたプログラミングです。
 えっ?それなら、Rの最初でやったオブジェクトの内容を画面に出すのもプログラミング?
と聞かれるかもしれませんが、その通りです。次の囲みの中を全てコピーして、Rのコンソールにペーストしてみましょう。
 x=c(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)
 sum(x)
上でやったプログラミングは、
 画面に1から10までの整数の合計を表示させる
というプログラミングです。皆さんがこれまでにやってきたRを使った操作も、何らかの処理の結果を画面に表示させるプログラミングだったわけです。なんとなく、プログラミングが身近になったでしょ?

**複数行の命令文 [#nc62591a]
上でやった2つのプログラミングですが、違いがありますね。"Hello World!"の方は1行だけの命令だし、合計値の方は2行になっています。プログラムは通常、いろんな処理を組み合わせて作るので、複数行になることが多いです。次に3行からなるプログラミングをやってみましょう。
 q=c(10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,80,100)
 y=c(2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,10,11,9,10,12)
 plot(log10(q^2), log10(y))

このプログラムは、
 2つの数値ベクトルについて計算を行って、対数グラフを描く
というものでした。さっき、上でやったのと同じことを、複数行にまとめて書いて、まとめてRに命令したわけです。


**Rで使う命令 [#qd8fba27]
 授業では一つ一つ解説しますが、復習課題をやるときとか、自分で新たな解析に挑戦するときは、どういう命令があるかが書かれた説明書が必要になるでしょう。
-http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips.pdf には竹澤さんという方が書かれた、日本語のRの解説があります。知りたい内容は、pdfを開いて、Acrobat Readerの検索機能でサーチし下さい。
-http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips.pdf には船尾さんという方が書かれた、日本語のRの解説があります。知りたい内容は、pdfを開いて、Acrobat Readerの検索機能でサーチし下さい。
また、Rを使っている最中は
 > ?plot
 > example(plot)
という風に、?の後に関数名を打てば、説明や使用例が英語で表示されます。説明文の一番最後にはExample(使用例)が載っていますので、けっこう参考になります。


**プログラミングの基礎: 繰り返しと代入と条件分岐 [#debe9e4c]
上で複数の行で様々な命令を一度にRに与えられるということを解説しました。でもやったことは、それぞれ個々の計算を順番に並べて、一度にペーストしただけですよね。そこで、次にもっと%%%プログラムらしい命令%%%をRに与えてみましょう。それは、''繰り返し''と''代入''と''条件分岐''というもので、プログラミングの基本中の基本です。


**繰り返し [#y178900a]
人が不得意でコンピュータが得意なことの一つは、単純な繰り返し作業を際限なく(文句も言わずに)行うことです。要するに、プログラミングの一つの目的は、そういう面倒な繰り返し計算をコンピュータにやらせることです。では、何回繰り返すかというのをどうやってコンピュータに指示するかというと、''for''という命令を使います。
-繰り返しは次のように for() を使って表現します。
 for(i in 1:10) { print(i) }
この命令は、
 { } で囲まれた部分の命令を10回繰り返しなさい
というものです。
 { } の中は何をする命令か分かりますか?
では、やってみましょう。1から10までの整数が表示されましたね。ここでもう一度命令文をよく見てみましょう。
 for と (i in 1:10) と { print(i) } に分かれています
   for は これから繰り返し命令が始まるよということを示しています
   (i in 1:10) は 繰り返しの回数が10回であることを示しています
          つまり、50回繰り返したかったら (i in 1:50) とします
                    iという文字の代わりに、jでも、kaisuでも、構いません
   { print(i) } は iという変数の値を画面に表示させなさいという意味です
というものです。 { }  のところは複数行に分かれていてもよく
 for(i in 1:10) {
   print(i)
 }
と書いても結果は同じです。
 練習問題: 2から18までの偶数を全て表示させるプログラムをfor命令を使って作りなさい
--プログラムのことをスクリプトとも言います。Rのファイルメニューから「新しいスクリプト」を選ぶと、「スクリプトエディター」というエディターが開きます。ここで、スクリプトを書いてから、選択して右クリックすると、選択中の命令(コードとも呼ばれます)を実行できます。
 解答例:(穴埋め形式)
 for(i in _:_){   # _ のところには数字が入ります
   print(i*_)
 }


**代入 [#o9dd7e55]
上の  for(i in 1:10) { print(i) } というプログラムでは、iの値は繰り返しの度に違う値になります。
 1回目  iの値は1
 2回目 iの値は2
 3回目 iの値は3
 ....   ........
 10回目 iの値は10
では、一つ前の繰り返しの時のiの値を使いたい場合はどうすれば良いでしょうか?例えば、1から10までの合計をfor命令を使ってプログラミングすることを考えると、
 今の繰り返し回数のiの値に1つ前回数までの合計を加えて表示させたい
 1回目  iの値は1   1つ前までの合計は0  1 を表示
 2回目 iの値は2   1つ前までの合計は1  3 を表示
 3回目 iの値は3   1つ前までの合計は3  6 を表示
 ....   ........
 10回目 iの値は10  1つ前までの合計は45 55 を表示
こういう場合に代入という命令を使います。その命令は
 =
です。通常の計算では'='というのは「3+5=」というように、計算を行わせる意味で用いられますが、プログラミングにおいては、
 左辺の変数に右辺の計算結果を代入する
という意味で用いられます。上の計算のプログラムは次のようになります。
 goukei=0           #goukeiという変数に初期値0を代入
 for(i in 1:10) {   #以下を10回繰り返す
   goukei=goukei+i  #goukeiに前回までのgoukeiの値にiの値を足したもの代入
   print(goukei)    #goukeiの内容を画面に表示
 } 
''goukei=goukei+i''という命令文では、%%%右辺の「goukei+i」を先に計算%%%して左辺の「goukei」に代入しているところが、分かりにくいかもしれません。
 練習問題: 1から10までの数字を1つずつ順々にかけ合わせたた結果を全て表示させるプログラムを作りなさい
             1x1=1, 1x2=2, 2x3=6, 6x4=24, 24x5=...... と計算してゆくということ
--初期値というのも耳慣れない言葉かもしれません。プログラムに登場する変数は、最初の値が何かをはっきりコンピュータに教えてやらないと、メモリに残っている数値がそのまま使われてしまうことがあります。~
以下、穴埋め形式でヒントを書いておきます。_の部分(1文字とは限らない)を補ってプログラムを作成してください
 seki=_           #sekiという変数に初期値1を代入(かけ算だから)
 for(i in 1:10) {   #以下を10回繰り返す
   _=_*_  #sekiに前回までのsekiの値にiの値を掛けたもの代入
   print(seki)    #sekiの内容を画面に表示
 } 


-縦に長くプリントされるのは格好悪いので、毎回の計算結果をオブジェクトにベクトルとして代入してから表示させてみましょう。ベクトルに要素を追加するには''append''という命令を使います。
 seki=1          #sekiという変数に初期値1を代入
 kekka=c()         #kekkaというオブジェクトに空ベクトルを初期値として代入
 for(i in 1:10) {   #以下を10回繰り返す
   seki=seki*i  #sekiに前回までのsekiの値にiの値を掛けたもの代入
   kekka=append(kekka,seki)   #kekkaというベクトルにsekiの値を要素として追加
 } 
 print(kekka)      #kekkaの内容を画面に表示
''kekka=append(kekka,seki)''と''goukei=goukei+i''という2つの式はよく似た働きをしています。
 kekka=append(kekka,seki)  kekkaにsekiを要素として追加したものをkekkaに代入
 goukei=goukei+i           goukeiにiを加えたものをgoukeiに代入

-せっかくRを使ってプログラミングをしているので、結果をグラフに表示させてみましょう。上のprint(kekka)の部分を、plot(kekka)(あるいは、plot(log(kekka)))に変えるだけで、グラフとして出力することができます。値も表示させ対場合は、両方の命令を書いておけばいいです。
 seki=1          #sekiという変数に初期値0を代入
 kekka=c()         #kekkaというオブジェクトに空ベクトルを初期値として代入
 for(i in 1:10) {   #以下を10回繰り返す
   seki=seki*i  #sekiに前回までのsekiの値にiの値を掛けたもの代入
   kekka=append(kekka,seki)   #kekkaというベクトルにsekiの値を要素として追加
 } 
 print(kekka)      #kekkaの内容を画面に表示
 plot(log10(kekka))  #kekkaの対数をグラフにプロット
&size(16){ずいぶんとプログラムらしくなってきました};

-for文は2重にして使うこともできます。こういう方法で、2つの変数の総当たり計算が可能になります。
 #**次のプログラムの実行結果を予測してください。**
 for(i in 1:9) {   #iの値を1から9まで1ずつ変化させる
  for(j in 1:9){   #jの値を1から9まで1ずつ変化させる
     print(i*j)    #iとjを掛けたものを表示する
  }
 }
-予想通りでしたか?小学生のころ呪文のように何度も唱えましたよね。上のままでは縦に長く表示されて格好が悪いので、matrixという関数をつかって、行列形式で出力してみましょう 
 #演習:九九の表をmatrixという関数を使って表示させます。_を埋めなさい
 result=c()                       #resultに空ベクトルを初期値として代入
 for(i in 1:9) {                  #iの値を1から9まで1ずつ変化させる
  for(j in 1:9){                  #jの値を1から9まで1ずつ変化させる
     result=append(_, _)          #iとjを掛けたものをresultの要素として追加
  }
 }
 matrix(result, nrow=i, ncol=j)   #nrowとncolはそれぞれ行の数、列の数を示す
                           #iとjはそれぞれ9で終わっているので、9x9のマスになる

-ここでresultの中身を確認して、行列表示と比較しておきましょう
 > result
-2つの結果を比較してみると分かるように、matrix()という関数は、resultに入っているベクトルを、nrowとncolの数に従って、行列に変換したものです。

**条件分岐 [#x51d2950]
プログラミングの基本技の最後は1つは条件分岐です。if()を使って表現します
 i=3                     #iに3という数値を代入
 if(i==3){print("三")}  #iの値が3ならば画面に三と表示

この例の2つめのif命令で、iの値を評価しています。評価に使われるのは比較演算子というもので、
 ==     等しければ
 !=      等しく無ければ
 >, >=   左辺が右辺よりも大きければ、左辺が右辺以上ならば
 <, <=   左辺が右辺よりも小さければ、左辺が右辺以下ならば
ということを意味しています
--r-tips.pdfで比較演算子を検索してみよう!
 比較演算子に対して、代入の時に使った = は代入演算子といいます。
上のif命令では、次のような条件分岐が行われています。
 if(i==3){print("三")}
  ・もしiの値が3ならば、画面に三を表示。
  ・もしiの値が3で無いならば、何もしない
2番目の何もしないというのは省略されていました。

-上では何も書かなかった、i=3では無い場合にも何かの処理をさせたい場合は、else を使います。また、表示を見やすくするために、{}の中は複数行にわかれていても構いません
 i=4                       #iに4を代入
 if(i==3){                 #iの値が3ならば
   print("san")            #   san と表示する
 } else {                  #iの値が3では無ければ
   print("san deha nai")   #   san deha nai と表示する
 }

***繰り返しと条件分岐 [#lc90bc80]
 では、上の繰り返しと条件分岐を組み合わせて見ましょう
 練習問題:for命令を使って1から10までの数字を表示させなさい、5だけは"five"と英単語で表示させなさい
--ヒントを穴埋め式で示しておきます。
 for(i in _:_){    #  10回繰り返し。iは1から10まで変化
   if(i == _) {    #iが5の場合
      print("five")       #fiveと表示
   } _ {       #それ以外の場合
      print(_)       #iの値を表示
   }
 }


*第10回授業の課題 [#f6812b8a]
-提出期限:6月27日水曜正午(下記課題全て)
--提出期限を過ぎたものでも、点数を半分にするなどで評価しています。
**課題1.アンケート調査 [#he4f485a]
+&size(16){http://bean.bio.chiba-u.jp/joho19/ に、「自分のID」/10 という新しいページを作成し、下の囲みの中にあるアンケートをコピー・ペーストして、「回答:」の後に答えを書き込むこと。};
-手順
++個人ページのトップページ(上の方のページタイトルに、「joho19/自分のID」のみが書かれているページ)、画面の上の方にある〔 新規 〕をクリック
++ページ名を尋ねる入力スペースが表示されるので、半角英数字で、ドット・スラッシュ・1・0を下のように入力
 ./10
---注:課題提出ページが正しく作れていない場合、課題の点数から1点減点です
 良くある間違い: joho19/07s9999/06 というページを作るべきなのに joho19/07s9999/05/06 としてしまったとか

**課題1.意見調査 [#u259e7fa]
 下の囲みの中にあるアンケートをコピー・ペーストして、「回答:」の後に答えを書き込むこと。

 *第10回授業アンケート
 **氏名:
 **課題への回答
 -今日(6月22日)の授業の進み方は?(はやい、丁度いい、おそい)
 --回答:
 -今日の授業の難しさはどう感じましたか(簡単すぎ 簡単 丁度いい 難しい 難しすぎ):
 --回答:
 -難しいと答えた人は、特にどの点が難しかったですか?:
 --回答:
 -今日の授業は(よく分かった 分かった 分からなかった):
 --回答:
 -分からないと答えた人は、特にどの点が分からなかったですか?:
 --回答:
 -今日の講義で理解できなかった用語があったら挙げてください:
 --回答:
 -Rで何ができるのか、だんだん分かってきたと思います。今後自分の勉強にRを使いたいですか?
 --回答:
 -Rでも、R以外の言語でも、何かやってみたいプログラミングはありますか?
 --回答:
 -今回やったプログラミングはおもしろかったですか?
 --回答:

**復習課題:Rによるプログラミング:繰り返しと条件分岐 [#yaa55602]

次の問題文の指定にあるプログラムを作成しなさい。作成したプログラムは課題提出ページに貼り付けなさい。
行頭には必ず半角の空白を入れること。
+  1から20までの総和を計算するプログラム(?のこと)(注:繰り返し文(for())を使ってプログラムを書いてください。sum()関数は使わないこと)
+ 乱数を20個発生させて、%%%0.5未満のものだけ%%%を画面に表示させるプログラム


**予習課題:Rを使った関数の定義 [#e6d9d800]
「関数の定義」なんていうと難しそうですが、ようするに、作ったプログラムに名前をつけて、いろいろと数値を変えて解析できるようにすることです。例えば、
 1から入力した数値までの全てを横一列に表示させるプログラムを作り
 displayという名前の関数として定義する
どうやるかというと、
 display=function(a){       #関数定義の始まり
  kekka=c()                 #kekkaに空ベクトルを代入して初期化
  for(i in 1:a){              #a回(iの値を1からaまで変化させる間)繰り返し
    kekka=append(kekka,i)     #kekkaというベクトルにiを要素として代入
  }
  print(kekka)              #kekkaの内容を表示
 }                          #関数定義の終わり
上の方で作ったプログラムの上と下を関数をfunction(){}で囲んで、オブジェクトに代入するだけですから、簡単です。この関数を実行するには、最初aの値を()の中に入力して、
 display(10)
とします。
↑を使って何回も実行してみると、結果がいろいろ変わるのがわかりますよね。
~そこで問題です。上の関数の定義方法に従って、入力した数までの合計値を計算するsumupという名前の関数を作成します。下の囲みの中の_の部分(1文字に対応するとは限らない)を埋めて、プログラムを完成して提出しなさい。
  sumup = ______       #関数sumpuを定義
    kotae = _          #kotaeを初期化
    _ (i in ___){      #1からaまで繰り返し
      kotae = _____    #kotaeにiの値を足したものとkotaeに代入
    }                  #繰り返し終了
   _____               #kotaeを表示
   }                   #関数定義の終了