*植物系統学Iウェブページ [#be30db80]

2011年(H23年)度 	授業コード: 	科目コード:~
前期・水2 	単位数 :2  専門科目(生物学科) 教室 	理学部大講義室~
授業科目名: 植物系統学I (Phylogenetic Systematics of Plant I)~
副題 : 種子植物の分類と系統~
担当教員 	梶田 忠~
連絡先 	研究室理学部3号館407号室 ~
内線番号 	2818 ~
メールアドレス  &ref(授業/tk.gif); ~

授業概要:種子植物は陸上植物のうち地球上で最も多様化を遂げたグループである。本講義では近年、分子データの蓄積により様々な新知見が提出された種子植物の分類体系を正しく理解することを目的に、系統分類学の基本的な概念と方法論を学ぶ。

目的・目標: 植物系統学および分類学の基礎知識の習得を目的とする。植物分類学および系統学は、植物の多様性を認識して理解するための基盤である。この授業では、植物の多様性の認識に用いられている考え方と方法論を習得する。特に、我々にとって最も身近な種子植物の分類体系については、これまでの常識的認識が、分子系統学で提出されたデータによってどのような改変を迫られているかを理解する。また、植物分類学で用いられてれるさまざまな形質(形態形質、化学成分など)の違いを理解し、我々人類がこれまでに蓄積してきた、膨大なデータにアクセスする方法を学ぶ。

授業計画・授業内容: 被子植物、裸子植物、シダ類、コケ類といった植物群ごとに解説する。個々の植物群で、現在の植物群がどのように認識されているか。
-ガイダンス
-植物系統分類学とは
-系統分類学の基礎: 「系統」と「分類」の関係
-分類体系とデータベース
-被子植物
--現在の認識:系統分類の歴史的側面
--分類学的形質:形態学的形質、化学成分など
--系統関係
-裸子植物
-シダ類
-コケ類~
<複数回にわたるテーマもある>
-授業は主にデジタルプロジェクタを用いて行う。
-授業に関する意見、質問などは研究室訪問や電子メール等で受け付ける。
//**おしらせ [#s59c63a8]
//-2011-4-29 17:00   &color(red){''第3回授業の課題について''}; 授業課題をmoodleぺージにアップロードしました。5月9日正午までに、回答を送信して下さい。
//-2011-4-28 6:30  &color(red){''第3回授業の課題について''}; 授業課題は諸般の事情によりまだ準備中です。アナウンスした時間までにアップロードできなくて、すみません。もうしばらくお待ち下さい。アップロード後は、このページおよびmoodleぺージでアナウンスします。
**課題提出用ウェブサイト及び授業掲示板 [#v527f7fa]
-授業moodle ページ  http://bean.bio.chiba-u.jp/moodle/~
--課題の提出はmoodleを用いて行う。別途送信してあるアカウントとパスワードを使って、上記ウェブサイトのコース「H23_植物系統学I」にアクセスし、受講登録しておくこと。
--授業関係資料と授業中に行った小テストの解説などもmoodleページから見られるようにしておく。

**参考書・参考ウェブサイト [#ya82f2a0]
***雑誌 [#tb2eafba]
-American Journal of Botany
--http://www.amjbot.org/~
アメリカ植物学会の雑誌。植物学研究の多くの研究が発表される。植物系統学、分類学関係の論文も多い。
---[[特集号: Biodiversity>http://www.amjbot.org/content/vol98/issue3/]] 生物多様性に関する特集号
---[[2009年1月号>http://www.amjbot.org/content/vol96/issue1/]]  Darwin生誕200年記念の特集号
---[[アメリカ植物学会誌90周年記念号>http://www.amjbot.org/content/vol91/issue10/]] 菌類、藻類、陸上植物について、植物系統学の2004年時点での最新知識が概観されている。
-APGIII 分子系統樹に基づく被子植物の最新の分類体系~
Botanical Journal of the Linnean Societyの2009年161号に複数の論文が発表されている。~
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/boj.2009.161.issue-2/issuetoc
-Ancestral polyploidy in seed plants and angiosperms~
種子植物の分化後、ゲノムの倍数化が2回起きたことを報告した論文~
http://www.nature.com/nature/journal/v473/n7345/pdf/nature09916.pdf
***ウェブサイト [#jca327a4]
- Stevens, P. F. (2001 onwards). Angiosperm Phylogeny Website. Version 9, June 2008 [and more or less continuously updated since].
--http://www.mobot.org/MOBOT/research/APweb/~
種子植物の分類を、最新の系統関係に基づいてウェブ上にまとめたもの。写真や分類情報のリンクもしっかりしており、用語や形質の解説も詳しい。研究者の利用にもたえるレベル。講義で学んだことをさらに詳しく調べるのなら、このサイトを訪れるとよい。
-福岡教育大学・福原達人さんのページ: 植物形態学
--http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/ ~
高解像度で美しい植物写真と詳しい解説があり、参考になるサイト。
-筑波大学・中山剛さんのウェブサイト Botany WEB 
--http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/BotanyWEB/top.html ~
植物学の用語が詳しく説明されている。
-YList 
--http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html~
日本野生植物(種子植物、シダ植物、コケ植物)全ての和名と学名の対応と、現記載論文を検索できるデータベース。東北大の米倉さんがデータの収集・選択・入力を行っている。ウェブサービスとデータベースシステムの管理は梶田が担当。
-国際植物命名規約 ICBN (International Code for Botanical Nomenclature)
--http://www.bgbm.fu-berlin.de/iapt/nomenclature/code/SaintLouis/0001ICSLContents.htm~
現行の植物分類学で、分類群に名前を与える規則について書かれている。階層的なランクに従って生物群に名前を与える。最新版の日本語訳が日本植物分類学会から出版されている。
-PhyloCode
--http://www.ohiou.edu/phylocode/~
系統関係に基づいて分類群を命名するPhyloCodeのルールをまとめたサイト。種と系統樹のクレードに名前を与える規則について説明されている。主に序文と前文に書かれている系統関係と分類群について授業で解説した。
-重複受精の写真(ユリ) http://images.iasprr.org/lily/
-GBIF(Global Biodiversity Information Facility): http://data.gbif.org/welcome.htm
-Tropicos: http://www.tropicos.org/
-Botanicus:  植物学の古典的文献の電子版。無料のライブラリー。 http://www.botanicus.org/
***書籍 [#c17d9557]
-Michael G. Simpson. 2010.  Plant Systematics. Academic Press; 2nd Ed. 
--植物分類学についてバランスよくまとめた本。この講義で扱った多くの内容について、詳しい記述がある。
-植物の進化 -- 基本概念からモデル生物を活用した比較・進化ゲノム学まで --. 2007. 清水健太郎・長谷部光泰監修. 秀潤社.
--副題のとおり、植物の進化についての基本概念も書かれているし、モデル生物を用いた様々な最近の研究も紹介されている。
-Soltis et al. 2005. Phylogeny and Evolution of Angiosperms.  Sinauer
--被子植物の系統と進化を、APGIIシステムに基づいて論じている。本講義の前半で、被子植物の様々な形質について論じるときに参考になる。
-Judd et al. 2007.  Plant Systematics - A Phylogenetic Approach - 3rd ed. Sinauer.
--植物の分類体系を系統関係に基づいて論じている。内容は学部レベルの教科書として適している。[[→出版社のページ>http://www.sinauer.com/detail.php?id=4030]]
-戸部博. 1994. 「植物自然史」 朝倉書店
--陸上植物の起源から多様化についてコンパクトにまとめられている。