普遍授業:情報処理 - 生物学で必要なコンピュータスキル †
講義データ †
- 2009年・前期・木5, 1年次対象(1S生), 2単位
- 講義・実習, 授業コード G2100126 , 科目コード G121001
- 授業科目名 情報処理(Information Processing)、副題 :生物学で必要なコンピュータスキル
- 教室等 A5F情報処理演習室1
- 担当教員 梶田 忠(理学部3号館407号室 内線番号 2818)
- 授業概要 生物学を学ぶ上で、コンピュータを効率的に利用して情報の収集、加工、解析、整理、発信を行うことは、必要不可欠である。この講義では、生物学科の学生が求められる、コンピュータを使うための基本的な技術と知識を習得する。
- 目的・目標
- この講義では、普遍教育が掲げる目的のうち、特に、「幅広く深い教養」と「総合的な判断力」の育成に必要な情報処理技術の習得をめざしている。習得目標(習得を目指す知識とスキル)は以下の通り。
- 論文やプレゼンテーションの作成に必要なコンピュータ利用の知識と技術を習得する。
- 目的に合致したソフトウェアを選択し、使用できるようになる。
- テキストデータの利用に習熟する。
- 異なるソフトウェアの間で、データの共有や移動ができるようになる。
- 大量のデータをコンピュータに自動処理させる方法を習得する。
- ネットワークを用いてコミュニケーションを行うことができるようになる。
- ネットワークの基本的な仕組みを理解する。
- 基本的な統計解析の方法とプログラミングの基礎を習得する。
- 授業計画・授業内容 授業計画は以下の通りだが、習得状況によって進行速度や実施内容は調節する。前半は計算機システムにインストールされているMS Officeなどの基本アプリケーションの解説を行う。後半は様々なデータ処理に必要なソフトウェアを自分でインストールして操作する。
授業はウェブイト(本ページ)を各自のモニターで参照しながら行う。また、個別のアプリケーションの操作は、前方スクリーンを用いて解説する。課題の提出と教員と個別のコミュニケーションは、主に授業用Pukiwikiページ(認証付き・非公開)を用いて行う。
講義実施予定と獲得目標 †
昨年度の例を示しました。概ねこのスケジュールで講義を行いますが、進度や習得状況に応じて調整します。
- 第1回 教育用端末、履修登録、電子メールの利用説明、アンケート。
- 教育用端末へのログインし操作できるようになる
- 履修登録システムの使用方法を習得する
- 大学の電子メール(統合メールシステム)を使ってメール送信ができるようになる
- コピー・ペーストの方法を習得する
- 第2回 コンピュータによるコミュニケーション。 メールによる添付書類のやり取り。ファイルの種類と拡張子の表示。MS Wordの起動と終了。レポート作成の一般的注意。K2Editorのインストール。
- 統合メールを使って、添付書類つき電子メールを送受信できるようになる
- MS Wordを使ってファイルを開いて編集し、保存できるようになる
- Windows XPのシステムで、ファイルの拡張子を表示できるようになる
- レポートが教員と学生のコミュニケーションの1つであることを理解する
- 第3回 テキストファイルを用いたアプリケーション間のデータ交換の概要(ブラウザ, テキストエディタ,エクセル)), Pukiwikiによる情報共有
- Pukiwikiによるページの作成方法を覚える
- テキストデータ(テキストファイル)とは何かを理解する
- テキストエディタの基本的な使い方(テキスト入力、検索、置換)を体験する
- 異なるアプリケーションでテキストデータを共有する方法を体験する(テキストエディタとエクセル等)
- 第4回 テキストファイルの加工と正規表現、エクセルの使い方
- ウェブページ経由で送信されるデータの種類を知り、セキュリティに関心を持つ
- 大量データ一括処理には検索・置換が有効であることを理解する
- 正規表現とはどのようなものかを理解し、テキストエディタによる正規表現検索、置換の便利さを実感する
- テキストエディタとエクセルの間でのデータの共有方法を習得する
- エクセルによる簡単な表計算の方法を習得する
- 第5回 Excelによるデータ集計とグラフ作成 。大量のデータが何を語っているかを、並び替え、集計、グラフ化によって視覚的にとらえる
- 正規表現検索・置換とエクセルの操作に習熟する
- エクセルによるデータの並び替え方法を習得する
- エクセルによるデータの集計方法を習得する
- エクセルによるグラフ作成方法を習得する
- 第6回 Wordによる文書作成、WinShotを用いた画像データの取り込み。レポートの見栄えを良くする方法。Pukiwikiページへの画像の貼り付け。班毎のプロジェクトについて、進め方説明。授業で必要なソフトウェアのダウンロードとインストール方法の解説。
- エクセルによるデータの並び替え・集計・グラフ作成に習熟する
- 正規表現:後方参照に挑戦する
- Wordを使った文書作成を習得する
- Winshotを使った画像の切り取り
- 第7回 WordとPower Pointによる文書作成。画像データを取り込む場合の注意。
- WinShotを用いたスクリーンキャプチャの方法に習熟する
- 正規表現:後方参照に慣れる
- Wordを使った文書作成に習熟する
- WordとPower Pointで共通する図の編集操作を習得する
- 第8回 Power Pointを使ったプレゼンテーション作成'' − 論文紹介プレゼン作成 −
- 正規表現:後方参照の復習
- プレゼンテーションにおける次の2つのポイントを理解する
- 「自分が主張したいメッセージ」を意識する
- 「人の意見と自分の意見を区別すること」を意識する
- 論文データベースを使った研究論文の検索を体験する
- 論文紹介を例にして、Power Pointでプレゼンテーションを作成する
- 一番大切なのは、聴衆に、あなたのメッセージを分かって貰うということ
- 第9回 Rを使ったデータ解析:基本的な数値計算と様々な統計処理
- Rの基本操作を理解する
- Rを使って数値計算を行うことができるようになる
- Rで「沢山のデータを一まとめにして扱う方法」を理解する
- Rを使った簡単な統計解析とシンプルなグラフを作成できるようになる
- 統計的検定を直観的に理解する
- 第10回 初めてのプログラミング。''Rを使ったプログラミング演習
- Rを用いたデータ解析に習熟する
- プログラミングとは何かを理解する
- プログラミングにおける繰り返しと代入と条件分岐を修得する
- Rで基本的なプログラムを作成し、実行できるようになる
- 第11回 Rを使ったプログラミング演習・Rを用いたシミュレーション
- プログラミングの基本:繰り返し・代入・条件分岐に習熟する
- ユーザー定義関数を理解する
- シミュレーションの考え方を習得する
- シミュレーションのプログラミングを体験する
- 第12回 DNAデータベースの利用。塩基配列データのアラインメントと解析。系統解析に挑戦
- DNAデータベースにアクセスし、キーワードやアクセッション番号で配列データを検索する方法を習得する
- 塩基配列を用いてデータベースを検索し、よく似た配列データを検索するを習得する
- ダウンロードしたDNAの塩基配列データをアラインメント(整列)し、系統樹作成等の解析に用いる方法を習得する
- 第13回 リレーショナルデータベースの利用(SQLite)。データベース、テキストファイル、Excelなどの組み合わせによる情報の整理と統合。Webを介した情報の流れ
- リレーショナルデータベース(SQLite)をインストールして、操作出来るようになる。
- SQLiteを使って、情報の検索・抽出・並び替え・複数テーブルの結合に挑戦する
- ウェブページを利用するときに、どのようにして情報が伝達されているかを理解する
- HTMLを用いて自分でウェブページを作成し、インターネットに公開できるようになる
- 第14回 班ごとのプロジェクト、成果発表。Power Pointによるプレゼンテーション。1班7-9分。
- PowerPointを使ってプレゼンテーションを行う
- 評価項目に従って、それぞれのプレゼンテーションを評価する
- 第15回 図書館情報システム講習(文献データベース検索、電子ジャーナルの利用など)
教科書・参考書 †
千葉大学情報処理教科書編集委員会編・「新しい大学情報リテラシー」(オーム社. H18. 1700円)。授業中に本書を参照させることは無い。講義は授業ウェブサイト(本ページ)の記載内容に従ってすすめる。
評価方法・基準 †
- 毎時間、予習課題と復習課題を出す。課題の総得点(100点満点)で評価する。
- 課題の成否だけではなく、どれだけ論理的でわかりやすく内容を表現しているか、どれだけ意欲的に課題に取り組んでいるかという点も評価の対象とする。
- 期末試験は行わない。
授業の進め方 †
授業ウェブサイトは毎回授業の直前に更新される。どのような流れで授業が行われるかや課題の内容については、前年度のウェブページにも詳しい情報がある。
資源の無駄を省くため、印刷物はできる限り配布しない。情報伝達の必要があれば、電子媒体を用いる。
昨年度からのアイデア †
- 講義項目の整理と分類: 基本ソフトの利用法、生物学に必要なスキル、ウェブ経由の情報伝達、など、今、どの部分の技術を習っているのか分かる方が学生にとっては安心
- 次世代の情報処理技術の紹介を簡単に:クラウドコンピューティング、インターネットアプリケーションなどの紹介
- HTMLの解説はH19にやったように、予習課題で考えさせ、授業で演習するという形式の方が良い。
来年度へのアイデア †
- 第6, 7回のワードとパワーポイントの回は、説明をゆっくりにしたせいで、課題の説明が十分にできなかった。来年度は説明内容を増減することで調整が必要。ただし、ほとんどの学生は課題をできていたし、高校で習ったので簡単だという意見もあった。どのレベルの学生を対象にするか、第5回ぐらいまでに十分見極めておく必要がある。恐らく、最初のアンケート調査でワード、エクセル、パワーポイントについて高校で習った内容をもう少し詳しい内容を聞くと良いだろう。
- 第9回のRのインストールを授業中にやると時間がかかりすぎる。第8回に予習課題としておくべき。
- 第9回の統計的検定の話しは、やはり、理解しがたいよう。直観的説明だけに絞って、そこに、帰無仮説とか、対立仮説という言葉を組み合わせた教材を工夫する方がいい。
また、ジャンケンの例は分かりにくいのかも。コイン投げの例にもどして、第8回の予習課題も、コインの話しにする。(例えば、コインを1枚投げて、裏が出るか、表が出るか、友達と賭をしようとしている。友達が持ってきたコインがイカサマコインじゃないかどうかを確かめるために、試しに、20回、コインを投げてみた。そしたら、表が5回、裏が15回でた。このコインはイカサマコインだろうか?)