開 講 通 知 (平成17年度後期集中授業)

科目名: 系統解析論
対 象: 大学院自然科学研究科・博士後期課程・地球生命圏科学専攻
単位数: 2単位
場 所: 自然科学研究科4階セミナー室
開講日: 11月18, 25日、12月1, 2日
担 当: 宮 正樹 ・ 梶田 忠
時 間: 時間割は下記の通り
11月18日(金) 13:00-15:30 系統解析論:ガイダンス・基本事項の講義・課題の決定(担当:梶田)
11月25日(金) 13:00-15:30 系統解析の実際:基本事項の講義・個別指導・グループ討論(担当:梶田)
12月1日(木) 10:00-12:00 系統解析の実際:課題の成果発表(担当:梶田)
12月1日(木) 13:00-16:30 系統解析論(担当:宮)
12月2日(金) 13:00-16:30 ベイズ系統入門(担当:宮)

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授業概要

生物進化を理解する上での基本となる系統解析の基礎から応用までを概観する。系統解析理論が発展してきた歴史的背景について論じるとともに、実際のデータを用いて、系統解析の基礎から応用までを幅広く解説する。

連絡先 

梶田担当分について

  • 梶田担当分授業では講義を行った後に、実際にノートパソコンを操作しての演習を行います。
    各自必ず、ノートパソコン(WindowsPC)を持参して下さい。Macintoshパソコンでも使用できるソフトウェアを用いますが、講義での説明にはWindows PCを使います。インストールしておくべきソフトウェア等は、講義の1週間ぐらい前までに、このホームページでお知らせします。かならず事前に準備をしておいて下さい。(**受講希望者数が少なかったため、個別にメールでお知らせしました。2005.11.11)
  • 梶田担当分では、毎回の講義の後に課題を出します。

受講者は梶田にメールで連絡すること

梶田担当分では、授業で使う資料等を、このホームページの認証付きページからダウンロードできるようにします。受講者は初回講義の1週間前までに、必ず梶田までメールで学籍番号と氏名を連絡し、認証付きページに入るためのアカウント等を受け取って下さい。

All students who intend to attend this class are required to send a mail to tk.gif.

授業の進め方

  • 基本方針:博士後期課程の授業なので、文献や説明書を自分で調べて一つの課題をこなす。また、自分で得た内容を人に分かりやすく説明する。
  • 評価基準:設定した課題が解決されているか。正しい手順で解析しているか。用いた手法の問題点を把握できているか。結果、手順、考察等を分かりやすく人に説明できるか。
  • 11月18日:ガイダンス。受講者4名の理解度チェック。基本事項の講義。理解度に応じた課題の決定。
  • 11月25日:各自設定した課題を1週間かけて調べる。その間、必要に応じてメールや研究室訪問で質問を受け付ける。25日の講義日には、各人が持ち寄った疑問点や問題点で、重要なポイントについて講義を行う。必要に応じて課題をさらに発展させる。また、問題点について全員で考える。
    • 祖先形質の推定について説明。Mesquiteの簡単なデモ。
    • 系統樹についての基本事項の説明
    • BLASTサーチ、ENTREZによる検索方法の説明
  • 12月1日:各自が設定した課題について、授業で発表する(持ち時間、1人約20分)。また、発表内容について全員で議論する。
  • 課題例:(ガイダンスで相談の上、自分で考えて課題を設定できることが望ましい)
    • Molphyを用いた系統解析: コーディング領域・非コード領域のサンプルデータをパーティションに分割し、最尤法で解析を行う。
    • Mesquiteを用いた形質進化の方向性解析: 分子系統樹の上に形質データを配置して、祖先ー派生形質を決定し、収斂進化などの現象を探る。
    • その他、塩基配列データを用いた集団遺伝学的解析(Arlequin, DNAsp, Mesquite, GenPop等)、共進化(TreeMap等)、系統地理学的解析(NCA: GeoDis, TCS)、その他組み替え、アラインメントの方法、ベイズ推定などなど。

Seki課題

ジュウシマツは日本に持ち込まれてから歌が変化、あるいは、学習によって歌が変化ということが系統関係をもとにして解析されたことがある。あるいは、他の鳥類でも、系統関係と歌の変化について、いくつかの研究がある。どちらかのテーマについて、系統情報と形質進化の関係を、実際のデータを使って解析する。そのための既存の情報をまず調べ、自分で問題設定を行う。(or alternatively, Perlを使ったBioinformatics演習。後ほど梶田が参考書のPDFと課題を送る。)

  • 2005-11-25 これまでに発表された鳥類の分子データはGenBankに無いため、解析できなかった。今回Mesquiteを使って既存の系統樹上に形質データを載せて、進化の方向性を検証するという新しい課題を設定。Mesquiteのインストールと使用に挑戦する。形態形質のマトリクスを何らかの方法で作り、系統樹上に載せる。
  • 2005-11-27 ジュウシマツの属するEstrildinaeと近縁グループについて、これまでにGenBankに登録されている16S rRNAの配列をダウンロードして分子系統樹を作成する。また、歌行動と神経系関連の形質をその系統樹上に配置して、形質進化の方向性を検証する。
    • 16SデータはGenBankに無かったので、cytocromeのデータを用いた。なぜかキンカチョウのデータは無かった。ダウンロードした分子データから、最節約法で系統樹を構築することはできた。課題として、得られた系統樹を用いた形質進化の方向性を推定することなどが残った。

Sudo課題

新棒腸目周辺の系統解析。既存の分子データをGenBankからダウンロードして、連結、アラインメント、系統解析。専門知識を生かして解析の範囲を考える。これまでのチューター授業などで使った、資料を送る。本人がやることは、

  1. どのグループのどの遺伝子情報を使うか、Google Scholar等で調べる。
  2. 2005-11-25テーマ決定:「扁形動物における寄生性の進化」
    扁形動物では主に自由生活性である渦虫綱と、主に寄生生活性の単生綱、吸虫綱、条虫綱がおり寄生生活性の種の多くは、寄生生活に非常に特化した形質を 持っています。このため、寄生性の種たちは自由生活の種から進化してきたのではないかと考えられています。
    これを次のような内群の18SrRNAと最節約法で系統学的に検証してみようと考えています。
    1. 自由生活性の渦虫綱の種×4
    2. 寄生生活性の渦虫綱の種×1
    3. 外部寄生性の単生綱の種×1
    4. 外部寄生性の吸虫綱の種×1
    5. 内部寄生性の吸虫綱の種×1
    6. 内部寄生性の条虫綱の種×2
  • 手順
  1. GenBankからシーケンスデータをダウンロードする
  2. BioEdit(系統学特論ホームページ参照)を使ってアラインメント
  3. 系統解析の方法は任せる。
  • 疑問:
  1. 扁形動物は5放射相称から左右相称になった生物の中で最も原始的であると言われているため、5放射相称の刺胞動物を外群として設定してみようと考えています。これが外群として不適切であるとすると、どのように不適切であると判断すればよいのか?
    • 外群決定は、せっかく分子データを用いて系統解析するのですから、予備的な解析で大系統の系統樹を作り、対象としているグループに最も近い者を探し出せば良いと思います。
  1. genebankからfasta形式でそれぞれの18SrRNAを保存したのですが一部はpartialであったり、completeだったり、part?だったりしますこれらを解析できるようにそろえる作業がアラインメントだと自分では理解しているのですが、BioEditでこれらのアラインメントをする時全てのFastaファイルをBioEditでExportして1つのnex形式ファイルとして保存すればよいのか?
    • 今回はGenBankに登録されているデータを用いて系統樹を作るので、サンプルを選ぶ際に、相互の比較が可能な長さの登録データが存在する必要があります。partialであったり、completeだったり、part?だったりするということですが、データをダウンロードして相同な領域でなるべく長さをそろえてデータセットを作ることになります。まず、必要なシーケンスを全てFASTA形式でダウンロードし、それぞれをBioEditで開き、コピーペーストで1つのファイルにまとめます。2つの異なる遺伝子データをつなぐのも、BioEditでできます。それをClustal Wでアラインメントして(BioEditのメニューの中に含まれています)、NEXUS形式に出力すれば、PAUP*で解析できます。
  • 参考:H17/生物学セミナー

Bayu課題

LFY1とLFY2のconflictについて、一致性のテストをする。Recombination test among LFY1 and LFY2 sequence data using several methods (five methods have already tried).その他の解析も考慮する。詳細は梶田と相談する。

  • 2005-11-25: Recombination Test Programを使って、LFY1とLFY2を解析した。LFY1では5つのアルゴリズムでrecombinationが全く無かった。LFY2ではMaxChiで9、Chimeraで1のrecombinationが見つかり、Hawaii1の配列両端部分でrecombinationが検出され、potential parentsはTaiwan1, 2であることが分かった。
  • Software RDP: ftp://ftp.uct.ac.za/pub/data/geminivirus/recomb.htm
  • 2005-11-25 In the next class, Bayu will talk about "Phylogenetic Analyses in Speciation Study of Ferns." including recombination tests.
    • Results of analyses by RDP 2.0 for LFY2 sequences were shown by Bayu-san. Recombination events were detected by two criteria, but each of them reported the different numbers of events. In addition, graphical presentation of recombination event suggested only one recombination in the sequence data. Bayu-san needed to try to explain the differences in the numbers.

Shirai

  • 白亜紀非海生二枚貝(Trigonioides)の研究。起源がUnioidaeかTrigoniidaeか。属間の系統関係を知りたい。分類基準に異論があるし、形質進化の方向にも異論。非海成層は、白亜紀ぐらいだと時代決定が困難。方法:形質の類似度で分類群認識・分岐分類を用いて系統解析。
  • 形態がどれくらい系統を反映しているかのテストに現生非海生二枚貝の分子系統樹を作る。1996のイシガイ科8genのアロザイム分析による樹状図。9属14種で形態形質(21)のマトリクス。PAUP, BandB。1/7の系統樹。BとCのクレードはアロザイムの結果とも一致してまとまった。使った形態は系統を反映していると考え、化石種の系統樹を作成した。
  • アイソザイムを用いて系統樹を作成して良いかという質問があった。→H17/系統解析論/followup

宮 担当分の聴講について (聴講希望者へのアンケート)

宮担当分の講義は、学外者でも聴講できることにします。ミトコンドリアゲノムを用いた魚類の大規模系統解析プロジェクトや、ベイズ法を用いた系統推定に興味のある方は、どうぞ参加して下さい。もし、人数が非常に多くなった場合は、別の部屋を予約するので、受講者以外で聴講を希望される方は、下のアンケートに答えて下さい。

聴講希望者数アンケート

  • 受講者以外で聴講希望の方は希望する講義それぞれに1回だけ投票して下さい。
    12月1日(木)午後の聴講を希望する4
    12月2日(金)午後の聴講を希望する5

宮担当分2日目はラップトップの持参を推奨します

二日目の「ベイズ法」に関して,(持っている人は)ラップトップを持参していただけると理解が深まります.予め下記サイトでソフトをダウンロードして置いて下さい。

参考書・参考サイト


Last-modified: 2015-05-13 (水) 16:39:23 (3481d)