Rを使ったプログラミング演習 †前回の授業で使ったRという計算ソフト。アンケートの結果を見ると「感動」してくれた人もいるぐらい、面白かったよう。コマンドを入力するのはちょと難しいけど、エクセルみたいにマウスを使って面倒な操作をしなくても、一瞬にしてグラフが描けてしまう。これなら、良いレポートを仕上げるために、何度も解析をやりなおして、グラフを描き直すっていう作業も面倒ではなさそう。。。 初めて使ったソフトなのに、皆さん、けっこうRの操作には慣れているし(ほとんどみんな、課題ができていた)、Rに魅力も感じているよう。なら、もうちょっと、Rと親しくなろうということで、今回は、Rを使ってプログラミングを勉強します。 Rのおさらい †前回やったRを使った計算のおさらいを、サンプルデータをつかってやってみましょう。 サンプルデータ: 仲岡先生の実習から †下のデータは仲岡先生の実習でやった、調査コドラートの面積と、出現種数です コドラート1 10*10 2種 コドラート2 15*15 4種 コドラート3 20*20 7種 コドラート4 25*25 7種 コドラート5 30*30 7種 コドラート6 35*35 9種 コドラート7 40*40 8種 コドラート8 45*45 12種 コドラート9 50*50 10種 コドラート10 55*55 10種 コドラート11 60*60 11種 コドラート12 65*65 11種 コドラート13 70*70 9種 コドラート14 80*80 10種 コドラート15 100*100 12種 (データ提供、してくれた方に感謝!) Rを使ってこのデータの、面積と種数の相関関係を知りたいとき、必要なのは、コドラートの1辺の長さと種数のベクトルです。 今から何をするか、もうお分かりですよね? 予想通り、K2Editorを立ち上げて、要らないところを消し、 10 2 15 4 . . というデータに整形して、エクセルにコピペして、1列ごとのデータを scan() 関数を使ってオブジェクトに読み込みます。では、やってみましょう。(そろそろミミタコだろうから、説明は簡単に書いておきます) 1. K2Editorでの操作 †
2. エクセルでの操作 †
3. Rでの操作 †
この授業では、それぞれの分析の意味については説明しません。仲岡先生に聞いて下さい。(グラフ用紙で提出しなくてもいいと仰っていたような、いなかったような。。。) *大事なこと* 上のような解析の方法、私だってRでできるとは知りませんでした。では「回帰分析行いなさい」なんて言われたら、どうするか?もしかしてRでできるかなと思ったら、 マニュアルを読みましょう
プログラミングって何? †ところで、プログラミングって何をすることでしょうか?IT用語辞典で調べてみると、、、 載っていません 唯一近いところでは、「プログラミング言語」というのがあります。説明文からプログラミングに関わるところを抜き出して、「プログラミング」の説明文を作ってみると、
今日の授業でコンピュータにあれこれ命令を与えるために使うRは、計算ソフトですが、インタプリタ型のプログラミング言語ということもできます。前回インストールしたPHPも同じくインタプリタ型のプログラミング言語です。 つまり、プログラミングとは、簡単に言うと、「言葉を使ってコンピュータが理解できる命令を作ること」 です。 コンピュータにどんな命令ができるのか? or どんな命令がしたいか? †「Wordを立ち上げて文章を作成し、印刷する」とか、「Excelで家計簿を管理する」とかは、市販のソフトウェアを使った作業ですが、いずれも、非常に高度で複雑な命令が、使用者からコンピュータに向かって発せられています。マウスを動かしたらポインタが動くなんていうのは、けっこう複雑な命令ですよ。でも、ほとんどの場合、一般の人がコンピュータでやりたいと思うほとんどの作業は、わざわざ「命令」なんていうものを意識する必要は無いはずです。利用者が理解しやすく・使いやすいように、専用のソフトウェアが開発され、販売されているでしょう。 生物学の研究者でも、プログラミングなどを経験したことの無い人は大勢います。だって、今や、DNAシーケンスの決定や、整列や、系統樹作成にだって、専用のソフトウェアがあるのですから。。。それぞれのソフトウェアの使い方を覚えれば、それですむわけです。私たちも新しい解析方法が開発されるたびに、そのソフトウェアの使い方を覚えるのに苦労しています。 でも、それだけで、本当にいいのでしょうか?良くないという点が、まず、2つ思いつきます。 1. 自分の目的にあったソフトウェアがいつも存在するというわけではない 2. ソフトが存在する場合、目的の数だけ、ソフトの使い方を覚えなければならない ということです。特に1番目は致命的ですね。ソフトウェアが開発されてなかったら、目的が達成できないのですから。例えば、集団遺伝学で学ぶ、遺伝的浮動の解析ソフトなんていうのは、パソコンショップに行っても売ってないです(でも、じつは、このくらいメジャーなものなら、ネットで探せばフリーのものがあります)。 そこで、この授業でプログラミングを勉強する理由は次の3点です。
Rを使ったシミュレーション:集団遺伝学的解析を試してみよう! †そこで、Rを使ってプログラミングを行うのですが、まず、目的が必要です。たぶん、皆さんが知っている生物学的現象で、Rをつかってやってみる一番ビジュアル的に面白いのは、集団遺伝学におけるいろんなシミュレーションでしょう。 (ただ、Rを使うデメリットは、計算速度が遅いことです。大規模なシミュレーションをやるには、インタプリタ型のソフトではつらいでしょう。) シミュレーション(simulation, 「シュミレーションでは無いですよ!」)は、数学モデルなどを用いて現実に似た状況をコンピュータ上で再現することです。模擬実験とも呼ばれています。 きっと、右の図は見たことがあるでしょう?これは、遺伝的浮動の効果を説明するときによく使われるグラフです。このシミュレーションでは、集団サイズN=100, 2つの対立遺伝子のうち、片方の対立遺伝子の頻度を示す。最初の世代の対立遺伝子の数は50:50。このグラフを使って、遺伝的浮動とはどういうものか、説明できる人はいますか?また、このグラフはどうやって作ったものですか? あてます 今日の授業では、Rを使って、「繰り返し」と「条件分岐」による最も単純なプログラムを、どんどん成長させていって、最終的には、上のグラフのようなものが作れるところまでを学びます。この過程で、遺伝的浮動とか、突然変異率とか、固定までの待ち時間とか、綿野さんの授業で勉強したようなことが、でてきて、たぶん、理解が深まると思います。 Rの説明書 †授業では一つ一つ解説しますが、復習課題をやるときとか、自分で新たな解析に挑戦するときは、説明書が必要になるでしょう。
プログラミングの基礎: 繰り返しと条件分岐 †前回授業の課題で、プログラミングの基本は繰り返しと条件分岐だという話しをしました。 繰り返し †繰り返しは次のように for() を使って表現します。 for(i in 1:10) { print(i) } この命令は、
条件分岐 †条件分岐はif()を使って表現します i=3 if(i==3){print("san")} この例では、
繰り返しと条件分岐 †では、上の繰り返しと条件分岐を組み合わせて見ましょう 1から10までのうち、5以外を画面に表示しなさい というプログラムなら for(i in 1:10){ if(i != 5) { # != は「等しくない」ということを示します print(i) } } 初めてのプログラミング:繰り返しと条件分岐を使って †では、次のプログラムを作ってみてください 1から10までの数字を表示させなさい、5だけは"five"と英単語で表示させなさい 0. シミュレーションの前段階:モデルの想定 †これからシミュレーションを行うのですが、つぎのような状況を想定してみましょう。 まず、対象とする架空の生物(仮に、「モナー」と呼びます(注:モナーについて詳しく知りたい人は、ウィキペディアで「モナー」を検索してみてください。))は2倍体の生物で、雌雄の区別が無く、繁殖期になると集団内の個体が一斉に配偶子を数千億個ずつ放出して死亡します。配偶子は生息域の空間内をランダムに漂った後、24時間後に、最も近くにある配偶子と接合し、新しい繁殖個体になります。集団の生息域は空間的に限られているため、親世代と同数の子供個体しか、成熟個体になれません。どの子供が成熟個体になるかは、ランダムに決まるものとします。つまり、このモデルだと、世代間で集団サイズに変動は無いということです。モナーにはトンガリ耳と丸耳の2タイプが1対立遺伝子(A, a)で決まることが知られています。トンガリ耳の遺伝子型は(AA, Aa)、丸耳の遺伝子型は(aa)です。 なお、上のモナーの説明は、私が今回のシミュレーションのために、適当に設定したものです。だって、「任意交配をする有限サイズの生物集団から遺伝子をランダム抽出して、同サイズの次世代集団を作った」なんて言い方をするよりは、生物を扱ってる感じがするでしょ? 1. 初めてのシミュレーション:10個体からなる集団における、遺伝子頻度変化のシミュレーション †モナー10個体からなる、1つの集団を考えてみましょう。いまこの集団で、対立遺伝子Aの頻度が0.5, 対立遺伝子aの頻度が0.5のとき(10個体だから遺伝子の総数は、20個です。そのうち半分の10個がAで、10個がaです)。集団中の配偶子の接合はランダムに起こると仮定して、100世代の間に、集団中の対立遺伝子の頻度はどのように変化するでしょうか? 今から実験をするのですから、前もって予想しておいた方が面白そうです この集団の遺伝子頻度が1か0に固定するまでに、何世代ぐらいかかると思いますか? a=c(10) #対立遺伝子aの集団中の個数 for(i in 1:30){ #この行から対応する}までの間を 100世代分繰り返す counta=0 #次世代にランダムに残るaの値を入れる変数を初期化 for(j in 1:20){ #数千億からなる配偶子プールから1個の配偶子を取り出す試行を20回行う if ( runif(1) < ??? ){ # *** 取り出した遺伝子がaだったならば *** counta=counta+1 # *** aの個数を入れる変数の値を1増やす *** } } out=counta/20) #何世代目かという数字(i)と対立遺伝子aの頻度(a/20)をoutというオブジェクトに入れる print(out) #outの内容を画面に表示する a=counta # aの値を新しい世代の対立遺伝子aの個数(counta)で置き換える } 上から順番に意味を考えてゆきましょう。 それでは、次のプログラムを走らせて、20個の遺伝子中対立遺伝子aが10個ある任意交配集団の、100世代の間のaの遺伝子頻度の変化をみてみましょう。 a=10 #対立遺伝子aの集団中の個数 for(i in 1:100){ #この行から対応する}までの間を 100世代分繰り返す counta=0 #次世代にランダムに残るaの値を入れる変数を初期化 for(j in 1:20){ #数千億からなる配偶子プールから1個の配偶子を取り出す試行を20回行う if ( runif(1) < a/20 ){ #乱数を一つ発生させ、それが対立遺伝子aの頻度(a/20)よりも小さければ counta=counta+1 #aの個数を入れるcountaという変数の値を1つ増やす } } out=c(i, counta/20) #何世代目かという数字(i)と対立遺伝子aの頻度(a/20)をoutというオブジェクトに入れる print(out) #outの内容を画面に表示する a=counta # aの値を新しい世代の対立遺伝子aの個数(counta)で置き換える } さて、皆さんの計算結果はどうでしたか?何世代目で固定された? 講義についての連絡: †※私が行う講義はあと4回です。7月20には、をPower Pointを使って班ごとにプロジェクトの成果を発表してもらいます。また、7月20日の残りの時間は、皆さんからの要望に応えて、もう一度解説して欲しい事項などを説明します。7月13日のアンケートで、希望をとりますので、優先順位を考えておいてください。 第10回授業の課題 †全ての課題は、http://bean.bio.chiba-u.jp/joho18/ に、「自分のID/10」という新しいページを作成し、これまでの提出例にならって、分かりやすく書き込むこと。あまりに分かりにくい回答は減点します。
課題1.意見調査 †下の囲みの中にあるアンケートをコピー・ペーストして、「回答:」の後に答えを書き込むこと。 *第10回授業アンケート **氏名: **課題への回答 -今日(6月22日)の授業の進み方は?(はやい、丁度いい、おそい) --回答: -今日の授業の難しさはどう感じましたか(簡単すぎ 簡単 丁度いい 難しい 難しすぎ): --回答: -難しいと答えた人は、特にどの点が難しかったですか?: --回答: -今日の授業は(よく分かった 分かった 分からなかった): --回答: -分からないと答えた人は、特にどの点が分からなかったですか?: --回答: -今日の講義で理解できなかった用語があったら挙げてください: --回答: -Rで何ができるのか、だんだん分かってきたと思います。今後自分の勉強にRを使うつもりですか? --回答: -Rでも、R以外の言語でも、何かやってみたいプログラミングはありますか? --回答: -今回やったプログラミングはおもしろかったですか? --回答: 復習課題:Rによるプログラミング:繰り返しと条件分岐 †次の問題文の指定にあるプログラムを作成しなさい。作成したプログラムは課題提出ページに貼り付けなさい。 行頭には必ず半角の空白を入れること。
予習課題:HTMLとウェブ&プログラミング †以下の設問に答えなさい
Rを使ったプログラミング演習(2) †**素朴な疑問** 「こういうシミュレーションのプログラミングって、これから生物学を学ぶのに、どのくらい必要なんですか?」 ==おへんじ= 画一的な答えは難しいです。シミュレーションそのものが直接必要になるような分野もあれば、そうでない分野もあります。 ただ、私は、プログラミングは、生物学における発展的な情報処理をする上での基本技だと考えています。 千葉大の研究室に限って言えば、プログラミング技術が無いと卒業研究が終わらないというところは 現時点では(たぶん)無いでしょう。但し、プログラミングができると、卒業研究や修士の研究でより 進んだことができたり、理解が深まったり、研究が楽になるようなところはいくつもあります。 数理生物学、理論集団遺伝学、進化生態学、バイオインフォマティクスを志す人には、 敢えて、不可欠な技術だと言っておきます。
前回のおさらい †それでは、次のプログラムを走らせて、20個の遺伝子中対立遺伝子aが10個ある任意交配集団の、100世代の間のaの遺伝子頻度の変化をみてみましょう。 numa=10 #対立遺伝子aの集団中の個数 for(i in 1:100){ #この行から対応する}までの間を 100世代分繰り返す counta=0 #次世代にランダムに残るaの値を入れる変数を初期化 for(j in 1:20){ #数千億からなる配偶子プールから1個の配偶子を取り出す試行を20回行う if ( runif(1) < numa/20 ){ #乱数を一つ発生させ、それが対立遺伝子aの頻度(a/20)よりも小さければ counta=counta+1 #aの個数を入れるcountaという変数の値を1つ増やす } } out=c(i, counta/20) #何世代目かという数字(i)と対立遺伝子aの頻度(a/20)をoutというオブジェクトに入れる print(out) #outの内容を画面に表示する numa=counta # aの値を新しい世代の対立遺伝子aの個数(counta)で置き換える } 前回、全角の空白が混じっていたため、うまく動かなかったプログラムがこれです。まず、これを始めに動かしてみて、 もう一度、プログラムの内容を理解してゆきましょう。 遺伝的浮動のプログラムをステップ・バイ・ステップで理解する †前回のレポートで、コピー・ペーストすれば動くのはわかるけど、どうやったらこういうのが作れるのか分からないという意見がありました。私としては、クラスのほとんどの人に、プログラミングとはどういうことをするものかを分かって欲しいので、作成過程を1つずつ、順を追って説明します。
2. 対立遺伝子aの初期値を自由に変更できるように、関数にしてしまう。 †これでは使いにくいので、aの値を自由に変更できる関数を定義してみましょう。「関数の定義」なんていうと難しそうですが、ようするに、作ったプログラムに名前をつけて、いろいろと数値を変えて解析できるようにすることです。 drift1=function(a){ #関数定義の始まり #上にあった、a=10 という命令は削除。この関数では、aの値を自由に変えられる for(i in 1:30){ counta=0 for(j in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } out=counta/20 print(out) a=counta } } #関数定義の終わり さっきのプログラムの上下を関数を定義する関数であるfunction(){}で囲んで、オブジェクトに代入するだけですから、簡単です。この関数を実行するには、最初aの値を()の中に入力して、 drift1(10) とします。 ↑を使って何回も実行してみると、結果がいろいろ変わるのがわかりますよね。 3.結果をグラフ表示。前につかったplot()関数 †では、せっかく結果が出たのだから、グラフにしてみましょう。でも、その前に、以前使ったplot()という関数を思い出してみましょう。 x=c(1,2,3,4,5) plot(x) plot()という関数は、ベクトルの内容をプロットしてくれるのでした。そうすると、今のdrift1関数の実行結果はどうやれば表示できるでしょうか? 関数を実行した結果が全て、一つのオブジェクトにベクトルとして格納されていれば良い。例えば: 0.6, 0.55, 0.65, 0.8, 0.95, 1, 1, 1, ... これをやるには、上のout=count/20としているところを、次から次へとベクトルの要素を付け加えるようにすれば良さそうです。ベクトル要素を付け加える関数が append() です。 results=append(results, a/20) と書けば、resultsというベクトルにa/20の値が追加されます。但し、ひとつだけ重要な注意があります。 resultsというベクトルはあらかじめ存在していなければ、append()は使えない つまり、for文を使って繰り返しを行う前に、 results=c() という命令で、空ベクトルを作っておく必要があるのです。 では、まず、結果をresults()に入れてベクトルで返すような変更を、上のプログラムに加えて見ましょう drift2=function(a){ results=c() #空ベクトルを作る for(i in 1:30){ counta=0 for(j in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) #ここにあった out=counta/20 の代わりに、append()関数でベクトル作成 a=counta } print(results) #printの文はfor文の外に出したことに注意!理由は分かりますよね } これで [1] 0.50 0.60 0.80 0.70 0.55 0.50 0.35 0.40 0.20 0.30 0.1.... というベクトルが表示できました。これをplot()でグラフにするには、 plot(drift2(10)) とやるだけです。 しかし。。。ちょっと待てよ?どうせなら、関数の中にplot()を入れてしまえばすぐにグラフが表示されるのでは? drift3=function(a){ results=c() #空ベクトルを作る for(i in 1:30){ counta=0 for(j in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } plot(results) #ここにあった print文の代わりに、plot()でグラフ表示 } グラフがすぐに表示できました!でも、点々では見にくいので、線で結んでみましょう。plot()のところを、 plot(results, type="l") とかえるだけです。 drift4=function(a){ results=c() #空ベクトルを作る for(i in 1:30){ counta=0 for(j in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } plot(results, type="l") #ここにあった print文の代わりに、plot()でグラフ表示 } 4.何回もの計算結果を、一つのグラフにまとめて表示したい †上で作ったプログラムを何度も走らせてみると、グラフの形がどんどん変わります。これはこれで面白いのですが、グラフの軸が一定していないし、1つのグラフに結果が重ねて表示されないので、ちょっと感じがつかめませんね。 そこで、いっそのこと、この実験を20回ぐらい繰り返してみて、結果を1つのグラフに表示させることにしましょう。同じことを何度も繰り返すのですから、for文をもう一つ、外側に作ればいいって、容易に想像がつきますよね? drift5=function(a){ for(i in 1:20){ #これまでのプログラムの外側に新しく作ったfor文。20回繰り返す。 results=c() for(j in 1:30){ counta=0 for(k in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } plot(results, type="l") } #新しく作ったfor文の終わり。ここまで繰り返し。 } さあ、走らせてみましょう。 drift5(10) あれ?なんか変ですね。最後は0.0で線が一本でるだけです。 なぜだか分かりますか? こたえは、aの値です。最初、aは10で与えられましたが、1集団分の繰り返しが終わった後、次の繰り返しの前に、下の数字に戻すのを忘れていました。 drift5=function(a){ firsta=a #関数に渡された(つまり()の中に書かれた)aの値をfirstaというオブジェクトに保存 for(i in 1:20){ #これまでのプログラムの外側に新しく作ったfor文。20回繰り返す。 a=firsta #繰り返しの最初に、aの値を初期値(firsta)に戻す results=c() for(j in 1:30){ counta=0 for(k in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } plot(results, type="l") } #新しく作ったfor文の終わり。ここまで繰り返し。 } できました。実行してみましょう。ウーン。。。うまくいってるようなのですが、1回ずつ、グラフが変わっちゃいます。グラフを重ねて描くには、par(new=T) というコマンドをplot()の前に使います。 drift5=function(a){ firsta=a #関数に渡された(つまり()の中に書かれた)aの値をfirstaというオブジェクトに保存 for(i in 1:20){ #これまでのプログラムの外側に新しく作ったfor文。20回繰り返す。 a=firsta #繰り返しの最初に、aの値を初期値(firsta)に戻す results=c() for(j in 1:30){ counta=0 for(k in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } par(new=T) #複数のグラフを重ね合わせる plot(results, type="l") } #新しく作ったfor文の終わり。ここまで繰り返し。 } あれれ?そうか。始点の軸が固定されていないから、ずれちゃってますね。plot()関数にはylimというオプションがあって、y軸の目盛りを0から1に固定するには、次のように書きます。 drift5=function(a){ firsta=a #関数に渡された(つまり()の中に書かれた)aの値をfirstaというオブジェクトに保存 for(i in 1:20){ #これまでのプログラムの外側に新しく作ったfor文。20回繰り返す。 a=firsta #繰り返しの最初に、aの値を初期値(firsta)に戻す results=c() for(j in 1:30){ counta=0 for(k in 1:20){ if ( runif(1) < a/20 ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/20) a=counta } par(new=T) #複数のグラフを重ね合わせる plot(results, type="l", ylim=c(0,1)) #y軸の目盛りを0から1に固定する } #新しく作ったfor文の終わり。ここまで繰り返し。 } いよいよ完成にちかづいてきました。図が重なって見にくくなったら、 >frame() か >plot.new() で図を新しく書き直して下さい。 5.もっと大きな集団サイズで解析してみたい。 †何回かグラフを描かしてみると、わりとすぐに固定してしまうことがわかりますね。じゃあ、もっと、集団サイズがもっと大きかったらどうなるか気になってくるでしょ? どうすればよいか?プログラムの中で、集団サイズを20に指定しているところを100とかに変更してもいいのですが、どうせなら、関数に値を渡すときに、指定できれば、つまり、 drift(繰り返し数, 世代数, 集団サイズ, 対立遺伝子の数) とか指定して実行できれば、好きな大きさの集団で、好きな数だけ、シミュレーションを繰り返せますよね。さっきのプログラムで、数値で指定してあったところを変数に置き換えるだけですから、そんなに難しくなさそうです。 では、やってみましょう drift6=function(x, y, z, a){ plot.new() #ついでに、図を新しく書き直すという関数をここに追加しました firsta=a for(i in 1:x){ #上のプログラムでは20でしたが、ここでは、x回繰り返す。 a=firsta results=c() for(j in 1:y){ #上のプログラムでは30だったけど、ここではy世代繰り返す。 counta=0 for(k in 1:z){ #上のプログラムでは20だったけど、ここでは集団サイズはz。 if ( runif(1) < a/z ){ #上のプログラムでは20だったけど、ここでは集団サイズはz。 counta=counta+1 } } results=append(results, a/z) #上のプログラムでは20だったけど、ここでは集団サイズはz。 a=counta } par(new=T) plot(results, type="l", ylim=c(0,1)) } } できちゃいました。 あんまり大きい数字を入れると計算にすごく時間がかかります。途中で終了したいときは、 ESC キーを押してください。 演習: †下のプログラムは遺伝的浮動をシミュレートするRのプログラムです。シミュレーションで観察する集団の数(num_repeats)、1集団あたり観察する世代数(num_generations)、集団サイズ(遺伝子数)(size_population)、0世代目における対立遺伝子aの数(num_a_allele)を与えて実行すれば、、ランダムに選ばれる遺伝子が、次世代の集団の遺伝子頻度にどのように影響するかを、シミュレートする集団の数だけグラフに(色つきで)表示することができます。下のプログラムを見て以下の問に答えなさい。 drift= function(num_repeats,num_generations,size_population, num_a_allele){ results=c() a=num_a_allele for(i in 1:【1】){ for(j in 1:【2】){ count_a=0 for(k in 1:size_population){ if ( runif(1) < a/【3】 ){ count_a=count_a+1 } } a=count_a results=append(results, a/size_population) } a=num_a_allele } rmatrix=matrix(results, nrow=num_generations, ncol=num_repeats) return(matplot(rmatrix, type="l")) }
時間があったら説明: いろんなシミュレーション †7.丸耳の表現型(aaで示されるもの)の集団内での表現型頻度をグラフで表示 †drift6=function(x, y, z, a){ plot.new() #ついでに、図を新しく書き直すという関数をここに追加しました firsta=a for(i in 1:x){ #上のプログラムでは20でしたが、ここでは、x回繰り返す。 a=firsta results=c() results_p=c() for(j in 1:y){ counta=0 count_p=0 count_p_type=0 for(k in 1:z){ if ( runif(1) < a/z ){ counta=counta+1 } if (k%%2 != 0){ #jが奇数のとき if ( runif(1) < a/z ){ #もし2つの遺伝子のうち最初のものがaならば count_p=count_p+1 #count_pの値を1増やす } } else { #jが偶数のとき if ( runif(1) < a/z ){ #もし2つの遺伝子のうち最初のものがaならば count_p=count_p+1 #count_pの値を1増やす } if(count_p == 2){ #連続する奇数回・偶数回で合計したpの値が2ならば(つまり、aが2個だったら) count_p_type=count_p_type+1 #count_p_typeの値を1増やす(aaとう表現型が1つあると数える) } count_p=0 #2個数え終わったら、count_pの値を初期化 } } results=append(results, a/z) results_p=append(results_p, count_p_type/(z/2)) #results_pに集団内のaaの頻度(count_p_type/z/2)を入れる count_p_type=0 #count_p_typeの値を初期化 a=counta } par(new=T) plot(results, type="l", ylim=c(0,1)) par(new=T) plot(results_p, type="l", ylim=c(0,1), col="blue") #aaの頻度を青線で表示する } } 8.選択係数sで、丸耳の表現型(aa)を集団から排除してみよう †drift6=function(x, y, z, a, s){ #選択係数sでaaが集団から排除される plot.new() firsta=a for(i in 1:x){ a=firsta results=c() results_p=c() for(j in 1:y){ counta=0 count_p=0 count_p_type=0 for(k in 1:z){ if (k%%2 != 0){ #jが奇数のとき if ( runif(1) < a/z ){ #もし2つの遺伝子のうち最初のものがaならば count_p=count_p+1 #count_pの値を1増やす } } else { #jが偶数のとき if ( runif(1) < a/z ){ #もし2つの遺伝子のうち2番目のものがaならば count_p=count_p+1 #count_pの値を1増やす } if(count_p == 2){ #連続する奇数回・偶数回で合計したpの値が2ならば(つまり、aが2個だったら) if (runif(1) < s) { #遺伝子型がaaのとき乱数を一つとって、それが選択係数より小さければ k=k-2 #jの値から2を引いて count_p=0 #count_pを初期化し next #強制的に次の繰り返し } else { count_p_type=count_p_type+1 #count_p_typeの値を1増やす(aaという表現型が1つあると数える) } } counta=counta+count_p count_p=0 } } results=append(results, a/z) results_p=append(results_p, count_p_type/(z/2)) #results_pに集団内のaaの頻度(count_p_type/z/2)を入れる count_p_type=0 #count_p_typeの値を初期化 a=counta } par(new=T) plot(results, type="l", ylim=c(0,1)) par(new=T) plot(results_p, type="l", ylim=c(0,1), col="blue") #aaの頻度を青線で表示する } } 9.固定までにかかった世代数を求める関数 †wtime=function(x, y, z, a){ firsta=a results_w=c() for(i in 1:x){ a=firsta results=c() w_time=0 for(j in 1:y){ counta=0 for(k in 1:z){ if ( runif(1) < a/z ){ counta=counta+1 } } a=counta if((w_time==0) && ((a==0) || (a==z))) { #もしw_timeが空で、aが0かzに固定しているとき、 w_time=j #w_timeにそのときに世代数jを入れる } } results_w=append(results_w, w_time) #その集団における固定までの世代時間をresults_wに入れる } return(results_w) } 10.有限集団におけるヘテロ接合体頻度の変化 †drift6=function(x, y, z, a){ plot.new() firsta=a resultp_m=c() for(i in 1:x){ a=firsta results=c() results_p=c() for(j in 1:y){ counta=0 count_p=0 count_p_type=0 for(k in 1:z){ if ( runif(1) < a/z ){ counta=counta+1 } } results=append(results, a/z) results_p=append(results_p, 2*(a/z)*(1-a/z)) #results_pに集団内のaaの頻度(count_p_type/z/2)を入れる a=counta } resultp_m=append(resultp_m, results_p) par(new=T) plot(results, type="l", ylim=c(0,1), col="gray") } rmatrix=matrix(resultp_m, nrow=y, ncol=x) hetero=c() for(i in 1:y) { hetero=append(hetero,mean(rmatrix[i,])) } par(new=T) plot(hetero, type="l", ylim=c(0,1), col="blue") par(new=T) curve(0.5*(1-1/z)^x, xlim=c(0,y), ylim=c(0,1), col="red") } |