理科教育研究II:系統推定と生物多様性 †
授業データ †
科目名: 理科教育研究II
対 象: 琉球大学教育学部 大学院生・学部生(生物学特殊講義)
単位数: 2単位
場 所: 教育学部・理科・実験室
開講日: 12月19-22日
担 当: 梶田 忠
時 間: 毎日2限目から
タイトル: 理科教育研究II:系統推定と生物多様性
内容: 地球上にはおよそ200万種の生物が知られています。これらは、たった1つの生命から、35億年という長い年月を経て、分化と絶滅を繰り返し、現在に至ったものです。つまり、現在の地球上にいる全ての生物は、全て同じ祖先を持っているわけです。ヒトとチンパンジーが同じ祖先を持っているということは、簡単にイメージできるかもしれませんが、ヒトと大腸菌が同じ祖先を持っているということは、どうすれば理解しやすいでしょうか?また、ヒトとチンパンジーと大腸菌の間の関係の近さや遠さは、どうすれば理解できるでしょうか?これらの問に答えるためには、系統学的思考が必要になります。
この講義では、生物の多様性がどのように生まれてきたかを、系統関係をもとに理解する方法を学びます。講義では、様々な生物群の系統関係を紹介すると共に、代表的な系統関係の推定方法を習得します。また、H18年度に千葉大学で行った進化生物学Iをベースに、系統学的な考え方と、系統推定の方法、その応用を解説します。系統推定の方法と考え方については、問題演習も行います。
内容 †
- 生物の多様性と系統関係
- 系統関係とは
- 系統樹の見方:基礎
- 系統推定の方法
- 系統樹の見方:応用
スケジュール †
- 12月19日(火)10:30 -
- 12月20日(水)10:30 -
- 12月21日(木)10:30 -
- 12月22日(金)10:30 - 14:30; 15:00-公開セミナー:「汎熱帯海流散布植物の系統地理学的研究」
成績評価 †
レポート(全部で5題)で行います。内容と提出期限は下記、制限ページを見てください。提出締め切りに遅れても、必ず、提出するようにしてください。ベスト解答は毎回、下記掲示板に載せておきます。
成績はメールで送ってあるアカウントとパスワードを使って、成績一覧ページから見ることができます。パスワード等を受け取っていない人は、梶田まで連絡してください。
上のリンクから、授業で配布した資料のダウンロードとレポート課題の閲覧が行えます。
レポートと共に提出した質問へのコメント、採点基準の変更、レポートのベスト答案、連絡事項などが書かれています。
受講生は意見を書き込むことができます。
参考書 †
- 「生物の種多様性」 岩槻邦男・馬渡俊輔編. 裳華房. 1996
- 第3章「系統樹をつくる」(上島励)は、系統推定の方法について、コンパクトにまとめてある。第4章「分子系統学のすすめ」(長谷部光泰)では、系統樹を用いてどのような問題が明らかになるかが簡潔に書かれている。この2つの章を前もって読んでおけば、講義を聴くときに、非常に役に立つだろう。
- 「系統分類学入門」E.O.ワイリー他著、宮正樹訳. 文一総合出版. 1992.
- 最節約法を用いた系統樹の構築方法を、演習問題を多数用いてまとめてある本。系統樹や最節約法の用語を簡単に調べたいときに役立つ。演習問題を自分で解けば、最節約法による系統構築がきっと理解できる。下のリンクから原本のPDFが無料で入手できる。
- 「分子進化遺伝学」 根井正利著. 培風館. 1990
- 第11章「系統樹」では、距離行列法、節約法、最尤法について解説がある。上の2つの本に比べると、数式も多いので、難しく感じるかもしれない。
- 「分子進化と分子系統学」 根井正利他著. 培風館. 2006
- 5章から10章にかけて、系統推定とその応用について、かなり詳しく書かれている。図版や実例を多く用いて、分子データを用いた系統推定を分かりやすく解説している。日本語で書かれた分子系統樹の作成法についての教科書としては、現時点で最も分かりやすいものだろう。
- Freeman, S. and Herron, J. C. 2004. Evolutionary Analysis. Pearson, Prentice Hall.
- Ridley, M. 2004. Evolution. Blackwell Publishing.
参考ウェブサイト: †