生物多様性と種分化機構の解明 †生物多様性の創出と維持機構の解明は、生物学の最も重要な課題のひとつです。私は大洋島固有種や汎熱帯海流散布植物に注目して、野外調査と遺伝子解析により、その種分化過程に関する研究をおこなっています。 大洋島固有植物の種分化研究 †大洋島は世界の中でそこの島だけにしか見られない固有生物が数多くいることから“進化の実験場”とも呼ばれています。主に小笠原諸島、鬱陵島、ロビンソンクルーソー諸島の植物に注目して、その種分化過程を明らかにするための研究をおこなっています。 小笠原諸島固有種ハイビスカス属モンテンボクの起源と分化 †小笠原諸島南硫黄島の植物相調査 †鬱陵島のカエデ属2種の遺伝的多様性と種分化 †適応放散による種分化と、適応放散によらない種分化の遺伝的背景の比較 †汎熱帯海流散布植物の系統地理 †汎熱帯海流散布植物とは、熱帯・亜熱帯域を中心とする広大な分布域を持つ海流散布植物のことです。代表的な種類として、グンバイヒルガオ(ヒルガオ科)、ナガミハマナタマメ(マメ科)、オオハマボウ(アオイ科)などがいます。いずれも海岸域に生育し、浮遊性・耐塩性のある種子が海流によって運ばれるという特徴を持っています。汎熱帯海流散布植物の分布の維持と種分化が、どのような遺伝子流動あるいは自然選択のバランスによって成り立っているのかを明らかにするために、全球的な分子系統地理学的解析を展開しています。 汎熱帯海流散布植物オオハマボウの系統地理 †汎熱帯海流散布植物の分類群横断的比較 †マングローブの全球的遺伝構造 †マイクロサテライトマーカーの開発 †生物集団の遺伝的多様性を調べるためにマイクロサテライトマーカーの開発をおこなっています。FIASCO法(Zane et al. 2002)、Compound Microsatellite法(Lian et al. 2006) 、454 pyrosequencing法(参考Takayama et al. 2011)を用いて、マイクロサテライトマーカーを開発し、集団遺伝学的解析に利用しています。 |