現地調査許可を取得するためのお役立ち情報

 汎熱帯海流散布植物の研究では、これまでに様々な国で現地調査を行ってきた。調査許可申請の手続きにかかる労力や、許可を得るまでにかかる時間も、国によって様々。これから海外調査を計画している人に、少しでも役にたてればと、我々が行った調査許可申請の必要手続きをまとめておくことにした。ただし、調査許可申請の手続きや書式は、それぞれの国でしばしば変更されるので、申請直前に現地機関に再確認する方がよい。

南太平洋

French Polynesia

  • 調査許可申請難易度: 易
  • 許可申請所用時間: 約3ヶ月
  • 調査後に必要な手続き: 無
  • データソース:Oct. 2006.梶田

調査前

  • 仏領ポリネシア政府の担当機関に申請して調査許可を得る。調査対象が保護植物に指定されているものの場合、採集許可を得る必要もある。
  • 担当者とは英語でコミュニケーションが可能。必要な書式をメールで送ってくれる。
  • 申請書の記入は英語。比較的簡単な書式。例:filePermit Application Summary Sheet.doc
  • French Polynesiaの植物に関する詳しい情報は、http://www.herbier-tahiti.pf/index.html にある。
  • 申請先:
    Délégation à la Recherche/Department of Research
    Ministère d'Education, de l'Enseignement Supérieur et de la Recherche
    Gouvernement de Polynésie française/Government of French Polynesia
    B.P. 20981 Papeete, Tahiti
    Polynésie française/French Polynesia
    Phone : 689 47 25 60
    Fax : 689 43 34 00
  • 申請が受理されれば、調査許可書が郵送されてくる。

調査後:

  • 特に無し

コメント:

 今回の調査では担当して下さった方のレスポンスが非常によく、調査申請は非常に簡単だった。我々の調査対象が普通種だったせいもあるのだろう。申請手順に関する情報は、最初、Musee de Tahiti et des Ilesのハーバリウムの方に連絡して教えて貰った(ただ、残念なことに、行程中に起こった航空便のキャンセルのため、ハーバリウムを訪問することは出来なかった)。

中南米

Brazil

  • 調査許可申請難易度: 難+
  • 許可申請所用時間: 約6ヶ月
  • 調査後に必要な手続き: 有
  • データソース:Mar. 2005.梶田

調査前:

  1. CNPqへの調査許可申請:書類の作成から申請までにやく1ヶ月。許可がでるまでに3ヶ月から半年ぐらいかかる
  2. リサーチビザの取得:CNPqからの公式許可が無いと申請できない

調査後:

  • 調査終了報告書

コメント

 ブラジルは生物資源の保護に力を入れており、外国人が無許可で動植物を採集していると逮捕されることがあるので注意が必要。調査許可申請は、CNPqの指定研究機関からでないとできないはずなので、カウンターパートの選択も重要。

 1999年と2005年にリオデジャネイロ植物園の研究者にカウンターパートになってもらって調査をおこなった。CNPqへの提出書類は全てポルトガル語で作成しなければならないので、カウンターパートには相当の苦労をかけることになる。CNPqへの申請は、3名の専門家によってレビューされる、問題がなければ許可が下りる。書類を提出してから、正式許可が下りるまでの日数はかなりかかるので、準備には相当時間を費やす必要がある。

Costa Rica

  • 調査許可申請難易度: 中
  • 許可申請所用時間: 最短で1ヶ月半
  • 調査後に必要な手続き: 有
  • データソース:Nov. 2006.梶田

調査前:

  • MINAEから得た申請書の書式*
  • 研究計画書*
  • 履歴書*
    • 上記3点の記入例:fileMinae_example_KJ.pdf (2007年11月申請分を改変)
      • 実際に申請するときには、MINAEかOTSから、書式を送って貰い、記入すること。
  • 所属機関からの保証書
  • 在日コスタリカ領事館からの手紙(?)**
  • 30US$
  • パスポートのコピーと写真2枚

      注)*スペイン語で記入

        **現地研究機関経由の申請の場合は不要 (1999年の申請時には不要だった)

調査後:

  • 保全対象地域での調査の場合、調査終了報告書3通と要旨(他言語の場合スペイン語翻訳)3通

コメント

 1999年には現地機関を通さずに上の手続きを行い、調査許可を得ることができた。今回はOTSという現地機関の協力を得て、調査許可申請を行うことを計画している。他にもINBIOという研究機関で、調査許可申請を手伝ってくれる。ただし、これらの研究機関を通す場合には、独自のルールがもうけられている(詳しい情報はそれぞれのウェブサイトにある)。申請代行手数料が100$ほどかかったり、機関宛の報告書提出義務があったりするが、こういう機関を通す方が、申請は楽かもしれない。代金を払えば、申請書をスペイン語に翻訳してくれるそうだ。

  • 2007-01-25 (木) 06:31:18 -- 2007年1月に実施した調査では、2006年11月に始めに申請書類をOTSに郵送した。調査許可が得られたという連絡は12月12日に来たので、約1ヶ月で許可がえられたことになる。OTS経由の申請は、担当者がe-mailで頻繁に連絡してくれるので、非常に楽だった(自分で直接MINAEに申請したときは、FAX1回、電話1回のみなので簡単と言えば簡単だが、現地に着くまで申請書が受理されているかどうか分からなかった)。
  • 2007-01-25 (木) 06:36:07 -- 参考までに、申請書類の記入例を添付しておいた。

Ecuador

  • 調査許可申請難易度: 易
  • 許可申請所用時間: 3ヶ月ぐらい
  • 調査後に必要な手続き: 有
  • データソース:Jul. 2001.梶田

調査前:

  • Quitoのハーバリウム(QCNE)に連絡をして、申請書類を送り、申請をしてもらう。下のホームページに詳しく書かれている

調査後:

  • レポート提出

コメント

 1999年と2001年に調査をおこなった。申請書は英語で書けばよいし、QCNEのスタッフも協力してくれるので、比較的楽に調査許可が得られた。

Panama

  • 調査許可申請難易度: 易
  • 許可申請所用時間: 3ヶ月ぐらい
  • 調査後に必要な手続き: 有
  • データソース:Nov. 2001.梶田

調査前:

  • Smithsonian Tropical Research Institute (STRI: http://www.stri.org/ )のホームページから、Research Applicationのページに書かれている指示に従って申請する。2001年には連絡担当の人と英語でメールをやりとりして申請したが、今は、上記ホームページのフォームから申請できるようだ。
  • 必要書類は、ANAM(National Authority for the Environment)への調査と輸出の許可申請の他、STRIの設備を利用するための申請など。全て英語で記入可能。
  • STRIはパナマ運河のど真ん中にあるBarro Colorado島の他、いくつもステーションを持っているの。そういう施設では宿泊もできるので、必要に応じて申請する。調査用の車もあるし、アシスタントも探してくれるので、調査は非常に効率よくできる。
  • 費用:調査許可申請、施設使用料、レンタカー、アシスタントなどについて、それぞれ費用が決まっている。STRIのホームページにも細かい説明がある。。

調査後:

  • 特に無し

コメント

 2001年に調査をおこなった。STRIは受け入れ態勢が非常にしっかりしているので、事前の申請も、到着後の調査も、非常に効率よく行えた。研究内容に応じて各地のステーションをうまく利用すれば、調査がはかどると思う。


添付ファイル: filePortaria2005.pdf 3258件 [詳細] filePermit Application Summary Sheet.doc 2694件 [詳細] fileMinae_example_KJ.pdf 3755件 [詳細] fileCNPq_projeto_2004.pdf 3534件 [詳細] fileCNPq_coleta_2004.pdf 3593件 [詳細]

Last-modified: 2015-05-13 (水) 16:38:56 (3431d)